東京都大田区の高校で、「激辛ポテトチップス」を食べた生徒さん約26人のうち15人が 体調不良を訴え、14人が救急搬送されました。
15人の生徒さんは全員意識があり、いづれも命に別条はありません。
この激辛ポテトチップスのメーカーや商品はどこの商品なのでしょうか。
「激辛ポテトチップス」のメーカー・商品名について
磯山商事の「18禁カレーチップス」と報道
報道では「18禁カレーチップス」という商品名のポテトチップスということが分かりました。
原材料の中には「ブート・ジョロキア」という唐辛子の粉末が使われています。
ゴーストペッパーとも呼ばれます。主な産地はバングラディシュ。
収穫の時、ゴム手袋が必要なほど辛い唐辛子です。
商品の裏面には、「WARNING」「警告:必ずお読みください」の表記の下に、と、10項目の注意書きが されていました。
- 18禁!辛すぎますので、18歳未満の方は食べないでください
- 高血圧、体調不良、胃腸の弱い方は絶対に食べないでください。
- 辛さに弱い方はもちろん、強い方も注意してお召し上がりください
- 手、指にキズのある方は素手では食べないでください。
- 18禁カレーパウダーの袋を開封する際や、ポテトに混ぜる際は大変危険ですので飛び散らないように注意してください。
- 万一、18禁カレーパウダーが目に入った場合には大量の水で洗い流し、ただちに医師の手当を受けてください。
- この商品を食べた手で目や皮膚のデリケートな部分に触れると炎症を起こす場合がありますので、食後は手をよく洗ってください。
- この商品を食べ過ぎるとおなかが緩くなる場合がございますので、お1人ではなく、たくさんのご友人とお召し上がりください。
- 小心者や根性のない方は、18禁カレーパウダーの量を減らしてお召し上がりください。
- 開封後は当日中にお召し上がりください。また保管する場合は、お子様の手の届かない場所に保管してください。
しかし、9番目の「小心者や根性のない方は…」という注意書き、ジョークのつもりでしょうけれど、これでは余計に無理してでも「食べてやる!」と思わせてしまい、逆効果のように思います。
注意書きなら、ジョークではなく「大変辛いですので、少しずつ混ぜてください。」などの適切な表現で書くべきではないでしょうか。
8番目「お1人ではなく、たくさんのご友人とお召し上がりください。」という表現も、体調を崩す可能性が大きいことがあるような表現で、気になります。
「18禁カレーチップス」は2013年から販売されており、このような被害の訴えは、今回初めてだったといいます。
(参考:朝日新聞 2024.7.16 /株式会社 磯山商事 公式サイト より)
「パキ」のワンチップチャレンジではありません。
2023年9月、アメリカ・マサチュ―セッツ州に住む14歳のお子さんが「激辛チップス」を食べて亡くなるという、痛ましいことが起きています。
亡くなったハリス・ウォロバーさんが食べたのは、「パキ」というブランドの激辛トルティーヤチップ「ワンチップチャレンジ」でした。
「キャロライナ・リーパー」と「ナガ・バイパー」の2種類の唐辛子で味付けしたチップです。
キャロライナ・リーパーペッパーは、ギネス世界記録で世界一辛い唐辛子として認定されている唐辛子です。
監察医は、ウォロバーさんが高濃度のカプサイシンを含む食品を摂取した後に、心肺停止した、と報告しています。
(参考:CNN 2024.5.17 より)
@Morbidfulさん ポストの和訳です。
今月初め、小学生のハリス・ウォロバ君が、世界で最も辛いチップスを食べた後、悲しいことに命を落としました。
ワンチップチャレンジは、世界で最も辛い唐辛子の一つとして有名なパキのカロライナ・リーパーチップの発売を受けて、2016年にソーシャルメディアのトレンドとして登場しました。
このチャレンジに参加するには、チップスをむさぼり食い、その後は食べ物や飲み物を一切摂取せず、猛暑に耐える必要があります。
悲しいことに、マサチューセッツ州の学生、ハリス・ウォロバーさん(14歳)は、チャレンジの一環としてクラスメートからこの激辛トルティーヤチップスを受け取って食べてしまいました。
非常に辛いチップスを食べた直後、ハリスさんは激しい腹痛に襲われました。容態は急速に悪化し、病院に搬送されたときには悲劇的にすでに命を落としていました。
(Morbid KnowledgeさんX 2023.9.9 より 和訳)
パキは、これを受けて、「ワンチップチャレンジ」の販売・製造を自主的に中止しています。
今回、生徒さんたちが食べたのは、「ワンチップチャレンジ」ではありません。
なぜ、体調不良は起きてしまったのか
詳しい原因もまだ報道されていませんが、ポテトチップス等のお菓子で、消費期限切れによるものという可能性は極めて低いと思われます。
食べた生徒さんたちは「口や胃が痛い」と体調不良を訴えていました。
「辛いもの」を急激に摂取したことによる症状だと思われます。
アメリカでは、今までに複数「チャレンジ」後に病院搬送のケースも
激辛チップスを食べる「チャレンジ」は、TikTokなどで流行りました。
アメリカ全国各地で、そういった「チャレンジ」の参加後に合併症にかかったというケースが相次ぎました。
カリフォルニア州では3人の生徒さんが、ミネソタ州の学校では 7人の生徒さんが、病院に移送されています。
(参考:ハンギョレ新聞 2023.9.12 より)
辛いものを一度にたくさん食べたり、辛いものばかりを継続的に食べるのは禁物です。
特にカプサイシンは胃腸への負担が大きいもの。
ふだんから胃腸が弱かったり、下痢や便秘のある方は食べ過ぎはいけません。
また、カプサイシンによるアドレナリン分泌により血圧が上がる場合もあるので、高血圧の方は要注意です。個々の体質に合わせた食べ方を心がけましょう
Panasonic UP LIFE編集部 (医学博士の尾都野 信子先生インタビュー)
明らかになっても、決して、救急搬送された高校生さんに対しての、「激辛ポテトチップスにチャレンジする動画を撮っていたのではないか」などの中傷は、してはならないでしょう。
磯山商事さんに対しても。
【追記】磯山商事がコメント
「18禁カレーチップス」を販売している磯山商事は、謝罪のコメントを出しました。
「本日、18禁カレーチップスを召し上がった高校生が病院へ救急搬送されたとの報道に接しました。お客様はじめ、関係各位に対し多大なるご迷惑をおかけいたし申し訳ございません」
「現時点で詳細を把握できておりませんが、搬送された方、並びに体調不良を訴えられた方の一日でも早い回復をお祈り申し上げます」
スポニチアネックス 2024.7.17 より
【追記】「自己責任論について」
食べた生徒さんたちの中には、歩けず車椅子で移動した生徒さんもいました。
(参考:FNNプライムオンライン 2024.7.16 より)
つらかったと思いますし、ご自身の症状に驚かれたことでしょう。
食べ物は、本来、身体に必要な栄養を摂取し、美味しく食べるためにあるものです。
筆者も、辛いものが好きです。しかし、苦痛を感じるほどの食べ物を身体に取り込むのは、健康な大人であっても、良くないでしょう。
SNSでは「チップスには、注意書きがあった」・「自己責任」という、言説が一部であがっています。
しかし、それはどうでしょうか?
YouTubeでは、日本でも、ポテトチップスに限らず、様々な「激辛チャレンジ」動画がたくさん出てきます。
高校生のような年頃の子どもたちは、YouTubeやTikTokで流行っているものに興味を持ち、好きなユーチューバーさんのやっていることをやってみたくなるものです。
注意書きはあっても、YouTubeであらゆる人が食べているのを見ていますから。ちゃんとメーカーが売っているお菓子ですから。安全だと思いますよね。
大人たちが食べ物を道具にしたり、苦痛を感じるもの(辛味・苦味)を食べたり飲んだりする動画が、本当にたくさんあります。
テレビでも、罰ゲーム的に食べさせたり、飲ませたりする番組もいまだにあります。
それらを子どもたちがマネしたくなるのは、大人に責任があります。
子どもたちを守るのが本来の大人たちの役目ではないでしょうか。
そして、
「激辛食品を食べられること」は、「すごいこと」でも何でもありません。
「18禁カレーチップス」に、激辛のカレーパウダーの量を調整すること・入れないで食べることは、「小心者や根性のない」ことでもありません。
この「風潮」について、今、立ち止まって考えなおすべきだと切実に思います。
アメリカのケースのように、取り返しのつかないことになる前に。
唐辛子について
唐辛子は本来、個々の体質に合わせて適量に摂取するのであれば、血の巡りが良くなったり、食欲を増進したりする役割のあるものです。
唐辛子に含まれているビタミンEには抗酸化作用があり、ビタミンB6には、アミノ酸や脂質の代謝、神経伝達物質の生成などの働きもあります。
辛味の成分、カプサイシンには、エネルギー代謝が活発になるといった利点もありますが、前述の通り、アドレナリンの分泌により 心拍数や血圧が上昇する可能性があるため、注意が必要です。
持病のある人、お子さん、胃腸が弱い人は、特に注意しましょう。
持病の無い人も、くれぐれも その日の体調に合わせてくださいね!
(参考:株式会社シルバーライフ まごころケア食 より)
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