SNSで繰り返し 起きている「誹謗中傷」について、今、様々な人からの、色んな発信を、目にするようになりました。
「誹謗中傷」はなぜ、繰り返されるのか?無くすことができるのか?検証しました。
YOSHIKIさんからの「誹謗中傷」に関する 呼びかけ
様々な人が「誹謗中傷」について発信、呼びかけが続くなか、先日(7月18日)、YOSHIKIさんがTwitterで、コメントを寄せました。
「誹謗中傷、やめよう」そんな機運が高まっているようにも、感じます。
「誹謗中傷」が起きてしまう原因を整理し、そして、誹謗中傷をいかにして無くせるのか、減らせるのか、探ります。
「誹謗中傷」が生まれてしまう「原因」とは
原因① 「誹謗中傷する人」の心が幸せではないこと
先ず、大きな前提として、「心が幸せではないこと」が根底にありますよね。
「誹謗中傷」などの人権侵害を行う人自身が、人権侵害に遭ってきた・もしくは現在遭っている、ということも、関係しています。
しかし、人権侵害に遭っても、それは変えていこう、という選択をする人もいる。
逆に、自分もやって良い、という間違った選択をしてしまう人もいる。
ここの間に、答えがあるように思います。
原因② 日本の学校教育システム
どこの国でも「誹謗中傷」はありますが、日本の場合は、大きな原因のひとつに、学校教育システムがあると言われています。
同質性の高い閉鎖的なシステムにより、同調圧力も生まれやすく、「人は多様である」ことを認識しづらい環境です。
「みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で、同質性の高い学年学級制の中で、出来合いの問いと答えを勉強するベルトコンベア型のシステム」。これが、この150年間ほとんど変わってこなかったシステムなんですね。
教育における「みんな同じ」が生んだ大きな問題
同質性が高いと、どうしても同調圧力がぐっと強くなってしまって、そこになじめない子が苦しんだりとか、いじめが起こりやすくなってしまう。そういった問題がありますよね。
教育哲学者が説く、150年ぶりの学校システムの変革 (ログミーBiz 2020.6.2 より)
本来、子どもたちが主体でなければならない「学びの場」のはずの学校ですが、教育先進国と比較して 遅れていると言われる日本の学校システムは「大人のいうことを一方的に聞かせる」管理教育システムが、まだまだ主流です。
「連帯責任」で班の生徒全員に「罰」を与える、ということも、今だにありますし、「完食指導」なども、「正義」と思い込まれて、今だに、行われています。
他人を尊重出来なくなってしまう心理を生みやすいのですよね。
※ ①と同様、「そんな学校システムの中で育っても」攻撃する方ではなく、攻撃を止める方、助ける方の生き方を選択するひとも、もちろん多くいます。
ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見るとかなり特殊だ。
「誹謗中傷大国ニッポン」ゆがんだ正義を振りかざす日本人がいなくならない理由
異常に厳しいブラック校則、同じ制服、同じカバンの強制、軍隊的な部活動、そしてクラス内での「班」行動などなど、他国の子どもと比べて「規範意識の育成」を徹底的に叩き込まれる機会が多い。
この「規範意識=絶対正義」という極端な教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない。
(ダイヤモンドオンライン 2023.7.20 より)
〝教育方針を改めない限り、「誹謗中傷」は絶対になくならない。″(引用元:ダイヤモンドオンライン)、それならば、裏を返せば、教育システムを作りなおすことで、「誹謗中傷」は減らしていける、ということでもあります。
そしてまた、今の この教育システムの中であっても、子どもたちのためにと模索している 現場の先生と親も、少なくはありません。
原因③ 「自己効力感」の報酬・「処罰感情」の充足欲求
相手が何らかの反応をした場合、「自分の行為には影響力がある」と感じ、その充足感により、「自己効力感」という「報酬」が、脳に与えられます。
また、「誹謗中傷」は、ときに「正義」を装って行われることが、多々あります。
この時、人間に備わっている「処罰感情」というものが働いています。
「処罰感情」が満たされたときにも、脳に「報酬」が与えられます。
参考:「〈叱る依存〉がとまらない」
紀伊国屋書店WEB STORE https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011884
原因④ 「アディクション(依存症)」になっている
そして、その「自己効力感」と「処罰感情」の充足という「報酬」へと依存し、その行動を繰り返しおこなってしまう、という負のスパイラルが起きてしまうのです。
「アディクション(依存症)」は、薬物などの「物質」だけではなく、「行為」も対象になります。
参考:「〈しかる依存〉がとまらない」
紀伊国屋書店WEB STORE https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011884
「誹謗中傷」を行った場合の「罪」は?
日本・ニュージーランド・ドイツの例を、こちらにまとめています。↓
「誹謗中傷」を生まない社会にするには?
日本では「侮辱罪が厳罰化」されました。
それでは、「厳罰化」には効果があるのでしょうか?
これは、議論になっているところです。
「罰」のみで、人の行動を変えることは難しいですよね。
韓国でも、2007年から施行されてきた「インターネット実名制」が、表現の自由を侵害するとして、2012年に違憲判決が下され、廃止されましたが、施行中も、名誉棄損等が減らず、効果が薄かったと言われています。
「誹謗中傷」の問題には、「誹謗中傷を行ってしまう人」への更生への支援、「誹謗中傷が生まれない社会作り」への具体的なデザインの、両方が、不可欠です。
では、具体的には、どうすれば良いのでしょうか?
先ほど、「原因」をひとつひとつ、見ていきました。「原因」が分かったのですから、解決方法は、模索していけるはずです。
先ほどの「原因①~④」に対応させて、見ていきましょう。
① 人権を尊重されて育つこと
これは、最も大切なことではないでしょうか。
人権侵害に遭ってきた人の中にも、そんな目に遭ってきたからこそ、「人権侵害を無くしたい」と行動する人も、もちろん多くいます。
苦労や悲しみは誰しもが経験していることですが、「誰かに」大切にしてもらった経験があると、自分で自分を大切に思えます。絶望しないでいられる糧のひとつだと考えられます。
現在、人に対して「誹謗中傷」などの人権侵害を行っている人は、その本人が苦しみの中にいる、ということも、心に留めておきたいところです。
(※もちろん、「誹謗中傷」自体は、やってはならない事であり、犯罪ということに変わりはありません。ただ、更生支援は必要、ということですね。)
② 日本の学校教育システムを変えていく
先ほど、教育システムを作りなおすことで、「誹謗中傷」は減らしていけることに触れました。
生徒の人権を大切にし、個々に合った環境で、「ひとりひとり違うのが当たり前」な環境で、子どもたちもスタッフたちも、共に「学び合う」学校を、1から創ることで、社会は大きく変わるでしょう。
生徒にも、先生やスタッフにも、ボランティアにも、誰にとっても「幸せな学校」を、市民みんなで対話して、創ることは、可能です。
今、日本でも、多様な教育への機運も高まっています。
教育先進諸外国からみて、30年以上遅れていると言われる日本ですが、
2017年には、教育機会確保法案が施行され、ホームエデュケーションやフリースクールなどの 学校以外の学びの場や、子どもたちの人権が、尊重される 社会創りの一歩となりました。
教育機会確保法案は、もちろん「学校」についても、「すべての子どもにとって豊かで安心できる学校にすること」も掲げています(第3条)。
●「教育機会確保法案」わかりやすく
https://freeschoolnetwork.jp/file/20170403kakuhohou.pdf
●文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について(通知)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380952.htm
ひとりひとりが尊重してもらえて、子どもたちにとって、安全・安心な居場所になる学校を創れたら。
ホームエデュケーションやフリースクールが、もっともっと子どもたちの当たり前の選択肢になったら。
「みんな、学び方も生き方も、違うのが当たり前」な環境で育ったら。
「誹謗中傷」は生まれにくくなるのではないでしょうか。
③ 自分の「処罰感情」に気付くと、コントロールできる
人間に、「処罰感情」というものが、機能として備わっているならば、「自分の意識を客観的に見つめる」ことで、その感情を「抑制する」ことが出来ます。
それを意識することで、もし「処罰感情」が自分の中に生まれたとしても、「あ、今〝処罰感情″が生まれたな。」と気付くことにより、冷静に感情をコントロールすることが出来ます。
一部の人にだけ「処罰感情」機能が備わっているのではありません。
人間に備わっている機能なので、誰にでも起こりうる感情です。
例えば、ドラマなどで登場する、いわゆる「悪役」が、最後には「やっつけられ」て、「スカッと」する、という感覚は、多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか?
自分の「処罰感情」に気付くと、意識が変わります。
まずは、人間が持つ「感情のメカニズム」を理解することですね!
また、「自分の行為には影響力がある」という充足感から「自己効力感」が得られるならば、
別の「自己効力感」が増えると良いですよね。(例:「困っている人を助ける」など。)
④ 「アディクション(依存症)」に、おちいらないために
自分が行っているのは「正義」による行動なので、「誹謗中傷」ではない、と思い込む事象に 良く似ているものに、「しかる」という行動があります。
「あいつのために」「しかってやっているんだ」という理屈ですね。
「おこる」はダメだけど、「しかる」は良い、という人もいます。
しかし、「おこる」も「しかる」も、「相手にネガティブな感情体験を与える」という点では、同じです。
SNSだけではなく、日常的な場面でも、見たり、あるいはやってしまっていたりするのが、「しかる」ですが、
「自己効力感」という「報酬を得る」構造は、同じです。
こちらは、「アディクション(依存症)」になりやすいので、
日常生活の中でも、「しかる」を手放していくことが、大切ですね。
③、④については、脳科学や認知科学の知見を、大いに取り入れて、
メカニズムを知ること、
そして「自分の感情」を客観的に見ることが大事ですね!
参考:「〈しかる依存〉がとまらない」村中直人 著 (出版:紀伊国屋書店)
こちらは、専門家のかたが「一般向け」に執筆された本なので、解かりやすく、まとまっています。
紀伊国屋書店WEB STORE https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011884
まとめ 「みんな、負けるなよ、愛の連鎖が最後は勝つ。(YOSHIKIさんの言葉より)」
以上、「誹謗中傷」はなぜ、繰り返されるのか?無くすことができるのか?を検証しました。
すぐには無くせなくても、ひとつひとつの根拠を元に行動していけば、減らしていける可能性があると分かりました。
YOSHIKIさんは、7月19日、冒頭で紹介したTweetに重ねて、もう一つ、大切なメッセージを寄せています。
このTweetに対しての、反応です。「愛の連鎖」が続いていました♡
〝一人の力では無理が有りますが皆んなの愛の連鎖の力で
楽しくSNSが出来る事を切に願います″
〝まず「憎悪の連鎖」を無くし、「愛の連鎖」を作っていきたいですね ♡ ″〝『愛は勝つ』って歌がありましたよね ♡
少しでも『相手を思いやる心』が あるのなら、優しい気持ちが広がって、 素晴らしい世の中になっていく… そう思います ♡ ″
(Twitterより) YOSHIKIさんのTweet への リプ欄より
〝勇気をもって、#愛の連鎖 を呼びかけてくださって、ありがとうございます。
小さなことしかできませんが、愛の連鎖になるように、自分が正しいと思う、自分と人のためになる行動を心がけます。 孫子のために、精神的にも安全で、みんなが幸せに満足に暮らせる日本、世界になる方向に向かって、温かい声かけを、日常でも、SNSでもしたいです。″
〝YOSHIKIさんが呼びかけるとメディアも取り上げてくれるだろうから、YOSHIKIさんの #愛の連鎖 は、いずれ世界に満たされると信じています″
YOSHIKIさん発信の「#愛の連鎖」「#ChainOfLove」ハッシュタグで、Tweetする人も、いらっしゃいました。
〝あらゆる生物の中で【言葉】を与えられた人間として… 自身の弱さを隠す武器 ではなく、 誰かを守る強さの花束に。 言葉は言霊なのだから。。。#愛の連鎖 #ChainOfLove ”
〝I agree with you ♡The word is a terrible weapon. Slander and negativity can hurt more than anything. Let’s support the #ChainOfLove ”
(Twitterより)
諦めず、ひとりひとりが知恵を出し合っていくことで、安心・安全な社会は、創れるのではないでしょうか。
Chain of love can be created ♡
(愛の連鎖は 生み出せる)
コメント