SNSで繰り返される「誹謗中傷」が社会問題となっています。
日本に限らず、多くの国が抱える問題でもありますよね。
では具体的に「誹謗中傷」を行った場合の「罪」は、法律でどうあつかっているのでしょう?
誹謗中傷を行った場合の罪は何? 日本の法律では、こうなっています!
もしも、「誹謗中傷」をしてしまった場合、どんな罪になるのでしょうか?
「誹謗中傷」にあたる行為は、
・「脅迫罪」(刑法第222条)
・「名誉毀損罪」(刑法第230条)
・「侮辱罪」(刑法第231条)
・「偽計業務妨害罪」(刑法第233条)
それぞれの行為により、それぞれの罪が適用されます。
●政府広報でも、今年(2023年)の5月から、呼びかけを行っていました。
政府広報オンライン「あなたは大丈夫?SNSでの誹謗中傷 加害者にならないための心がけと 被害に遭ったときの対処法とは?」 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202011/2.html#firsrSectio
●どんな事例が「侮辱罪」にあたるのか、ご参考です。↓
侮辱罪の事例集 https://www.moj.go.jp/content/001356049.pdf
●侮辱罪は、2022年に、厳罰化の改正法案が閣議決定しました。
「刑法等の一部を改正する法律」が成立し、そのうち侮辱罪の法定刑の引上げに係る規定は、同年(2022年)7月7日に施行されています。
この改正により、侮辱罪の法定刑は、「拘留又は科料」から「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げられました。
法務省「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」 https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00194.html
日本以外の国では?(ニュージーランド・ドイツの例)
・ニュージーランドには、2015年に成立した「有害デジタル通信法」があります。(英文:“Harmful Digital Communications Act 2015”)
自然人の場合、最長 2 年の拘禁刑又は最高 5 万ニュージーランドドルの罰金刑
(法人の場合、最高 20 万ドルの罰金刑)が科せられる可能性があります。(第 22 条)
しかし、この法律は、表現の自由、報道の自由の侵害や、自由な意見表明に対する萎縮効果のおそれがあると、議論もされてきました。
参考:ニュージーランドの有害デジタル通信法
―オンライン上の有害なコンテンツに関する包括的規制―
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10016376_po_02680006.pdf?contentNo=1
・ドイツにも、2017年10月1日に施行され、2018年1月から本格的な運用が始まった「ソーシャルメディアにおける法執行を改善するための法律」があります。
ドイツでも、賛否両論があり、言論の自由が保証されず、萎縮効果が生じるのではないか、といったことが懸念されています。
参考:SYNODOS OPINION 2021.04.12
ドイツのネットワーク執行法で変わったことと変わらないこと――違法なコンテンツの排除はネット上の発言をどう変えたか
https://synodos.jp/opinion/international/24236/
「薬物問題」の「ハームリダクション」という概念
「罰」への考え方について興味深いのは、「薬物問題」に関しては、「ハームリダクション」という概念が世界中に広がっていることです。
「処罰ではなく、支援を」
このメッセージは薬物問題への向き合い方を変革しようという世界的なキャン
「ハームリダクションとは何か」松本 俊彦 著 (中外医学社 ) https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784498129948
ペーンのものです。
多くの国や地域では、支援が欠乏し処罰されているというのが現状なのでしょう。
そして、処罰によって良い方向に変わってきたわけではないことが、変革を求めるアクションを呼
び起こしているのでしょう。
まとめ
もちろん、薬物問題と、誹謗中傷の問題は、違います。
しかし、誹謗中傷の問題にも、更生への支援、誹謗中傷を生まない社会づくりの両方が、不可欠なため、考えるためのヒントになると思います。
厳罰化には、様々な問題も、あることも分かってきました。
今、大切なのは、私たちは、これについて、周りの色んな人と、議論や対話を たくさんしていくこと、なのだと思います。
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