「暴露系インフルエンサー」の滝沢ガレソ氏のある投稿をめぐって、「星野源さんではないか?」との憶測が飛び交い Xが荒れたことで、星野源さんの事務所は「法的措置」を検討していると表明しています。
しかし滝沢ガレソ氏は「星野源さん」という名前は一言も言っておらず、これを名誉毀損に問えるのか、という疑問の声もあります。
「名前を伏せた投稿」の場合、これが「名誉毀損」にあたるのか、そして事務所とガレソ氏の問題は、これからどうなるのか、について検証しています。
「元ネタ」となった滝沢ガレソ氏の投稿は?
そもそもの炎上の発端となったのは、滝沢ガレソ氏のこちらのポストでした。
このポストでは、「男性歌手」「某NHKアナ」「某週刊誌」「男性歌手の所属事務所」「女優」と書いており、個人名は一切書いていません。
事務所はすぐに否定、星野さん、新垣さんも否定
しかし、Xでは「星野源さん」という憶測、さらには星野さんへの批判的なポストまで多く流れたことで、星野さんの所属事務所アミューズは素早く反応しました。
アミューズ法務部は「滝沢ガレソ氏の投稿に関連する憶測について、事実は一切ありません。」と投稿し、「名誉毀損などの違法行為については、法的措置を含む対応を検討致します。」と警告しています。
午前3時28分、という時間帯のポストでした。タレントを守る措置が素早かったですね!
星野源さんも、ご自身のInstagramに、インスタストーリーをUP、アミューズ法務部ポストの画像と共に「上記の投稿のように、いまSNSやインターネット上などで噂されている件に事実は一切ありません。事実無根です。」の文章を添えて否定しています。
新垣結衣さんサイドも、公式Xのプロフィール欄で否定しました。
こちらは、なりすまし発生防止を目的としたアカウントです。 情報発信や本人がつぶやく予定はございません。 ご了承くださいますようお願いいたします。
火のないところに煙が立っているようですが、いま騒がれ噂されている件に事実はひとつもありません。心配してくださっている皆様、ご心配なく。
新垣結衣さん公式Xより
滝沢ガレソ氏の反応は?
滝沢ガレソ氏は、今のところ、アミューズ法務部のポストについて反応せず、火種となった 自身の例のポストも削除していません。(5月25日現在)
名前を出していなくても「名誉毀損」になるの?
ガレソ氏は、当該ポストで登場する人たちが「誰なのか」については、個人名を一切 書いていません。
それでは、「名前を出していなくても」名誉毀損になるのでしょうか?
「名誉毀損罪」は成立するか?
結論から言うと、この件は「名誉毀損罪」にあたる可能性があります。
名誉毀損とは、「相手の社会的評価を下げる行為」です。民事上、刑事上の両方で、法的責任があります。
刑法230条に、こう定められています。
第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する
法務省HP より
2022年に 拘禁刑を定めた「刑法等の一部を改正する法律案」が国会で可決・成立し、懲役刑と禁錮刑は廃止され「拘禁刑」が導入されます。施行日は、2025年6月1日です。
名誉毀損罪が成立する条件は、
- 相手の行為が「公然と」行われたこと
- 「事実」を摘示していること
- 人の名誉を毀損していること
- 同定可能性があること
- 違法性阻却事由がないこと
などです。
ここで記載されている「事実」とは、「真実」と違います。
真実であるか、は問われず、デマであっても該当します。
また、この中の「同定可能性」とは、問題になっている投稿で、どの個人を指しているのか、他者が見て「特定可能である」ということを指しています。
法律事務所が、「同定可能性」について、このように説明しています。
これは、単に「伏せ字にしたからセーフ」ということではありません。
Authense法律事務所 より
たとえ伏せ字を使うなどしても、他者が見て誰のことであるのかわかるのであれば、同定可能性があると考えられます。
「伏せ字」とは、「某氏」や、「○○さん」などのように、ほのめかす言葉です。
Xでは、多くの人が、星野さんと憶測し、そのことについて投稿しています。
これは決して少人数ではありませんでした。これは「他者が見て誰のことであるのかわかる」に該当する可能性があります。
名誉毀損に該当しない場合とは
「公共の利害」に関わるとき
では、名誉毀損にならない場合とは、どういったケースがあるのでしょうか。
「公共の利害」に関わることを 社会に訴えるという目的である場合に「事実」を公表し、それが「真実」の場合は、名誉毀損にあたりません。
例えば、
- 汚職
- 企業の不正
- 政治家などの不祥事
- パワハラ
- セクハラ
について告発するなどです。
これを「違法性阻却事由」(いほうせいそきゃくじゆう)を満たしている、といいます。
しかし、今回のガレソ氏の投稿にある「人の私生活」の事柄については、「公共の利害に関わること」ではなく、投稿の目的も「公益を図るもの」ではありません。
したがって、「名誉毀損」に問われる可能性があるケースとなります。
そして、「公共の利害」に関わる投稿は制限されるものではないです。
(例えば、裏金事件や汚職などに対して等の)真っ当な批判をできる権利は、あります。
こちらは、どんどん言っていきましょう!
今後、どうなるのか? アミューズは、法的措置を取るのか?
今後、アミューズが法的措置を取る可能性はありますが、今のところアミューズは
「法的措置を含む対応を検討致します。」
と言っています。
「検討」なので、「法的措置を取る」と決まったわけではありません。
また、名誉毀損罪・侮辱罪は「親告罪」にあたります。
つまり、被害者が告訴しなければ、公訴を提起することができません。(刑法第232条 より)
そのことから、事務所や星野さんご本人が告訴しなければ、名誉毀損罪や侮辱罪には問えない、ということです。
まだ検討中なので、告訴するかどうかは、現時点では判りません。訴訟を起こし、裁判となった場合、原告側にとっても心の負担が大きいため、告訴はしないのでは、という見方もあります。
示談交渉になる可能性もあるでしょう。
滝沢ガレソ氏に限らず、「憶測で星野さんの誹謗中傷にあたるポストをした人たち」にも、告訴があれば「名誉毀損罪」となる可能性があります。
憶測からの、Xへの投稿や、星野さんのInstagramのコメント欄への憶測からの書き込みは、しないようにしましょう。
もちろん、滝沢ガレソ氏に対しての誹謗中傷も、してはいけないことですよね。
今後、アミューズと滝沢氏がどうなるかについても、このような問題が起きないようにするためにも、私たちネットユーザーのネットリテラシーも、いま問われていると思います。
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