都知事選投票日の7月7日当日、「アッコにおまかせ」で、よりによって「投票にまつわる注意事項」に関して、誤情報が流れたことが大問題となっています。
番組内では、2つの大きな誤情報を流してしまい、1つについては訂正しています。
今回深刻なのは「台本があったのではないか」という疑惑が出ていることです。「選挙妨害にあたるのではないか」とも言われています。
実際にはどうだったのか?について、検証していきます。
【動画】2つの誤情報について
実際の映像は、こちらです。
①入場整理券が無い場合の案内が間違い
先ず、宇内アナウンサー「ご自宅に届いている整理券を持参すれば、自身を証明するマイナンバーカードなどは持って行かなくても大丈夫です。」と説明。ここまでは合っています。
問題になっているのは、次にアナウンスされたこと。
(宇内梨沙アナウンサー)
ただ、こちらをすでになくしてしまったという方は、マイナンバーカードなどを持参してください。
そして本人確認を済ませて、投票用紙をいただくという形になるんですけれども…
「マイナンバーカードなどを持参してください。」は誤りです。
この「マイナンバーカードなどを持参」は、必ずしも必須ではありません。選挙人名簿に登録されていることが確認されれば、投票できます。
氏名、住所、生年月日を記す、または答えることで、本人確認をし、投票用紙をもらうことができます。
身分証明書があれば 本人確認がよりスムーズとも言われていますが、
マイナンバーカードや免許証偽造の問題が解決しない限り、「あれば安全」とはまだ言い切れないですね。
東京都選挙管理委員会の公式サイトでも、「投票所の入場券が届かないときや、なくしたとき」について、このようにアナウンスしています。
投票所入場券は、選挙人に対し選挙があることをお知らせすることと、投票所で選挙人名簿の本人照合をスムーズに行うためのものです。
ですから、入場券が届いていない場合やなくしてしまったときでも、選挙人名簿に登録されていれば投票はできますので、投票所で受付の係員に申し出てください。
東京都選挙管理委員会事務局 公式サイト
特に、身分証明書が必要などの記載は、ありませんでした。
都選挙管理委員会のスタッフさんも、「氏名、住所、生年月日を記してもらう・答えてもらう本人確認が一般的」「身分証があるとスムーズになる場合がある」と、J-CASTニュースの取材に、答えています。
(参考:J-CASTニュース 2024.7.8 より)
「アッコにおまかせ」を見て、整理券を忘れた・なくした人が「身分証無いから、行けないんだ…」と受け止めると、投票率に影響を及ぼす可能性がありますよね。
②「漢字で登録している人は漢字で」の間違い
番組内では、宇内アナウンサーが、「漢字を間違ってしまうと無効になってしまうので、正しく書くようにしてください」と注意を呼びかけました。
その直後です。
出演者の勝俣さんから、このような質問がありました。
(勝俣さん)
ひらがなで書いてもいいんですか?
(宇内アナウンサー)
ひらがな…正しく!立候補した名前で書いて下さい。
ひらがなで立候補している人はひらがなで書きますし、
漢字で立候補している人は漢字でちゃんと書くようにしてください。
「漢字で立候補している人は漢字で書くように」は間違いです。
宇内アナウンサーは、その日の番組内で謝罪しました。
(宇内アナウンサー)
東京都選挙管理委員会によりますと、先程お伝えした投票用紙の記入の件なんですけれど、候補者の名前を、ひらがな・カタカナで記入しても、候補者と特定できれば有効になるということです。
たいへん失礼致しました。
漢字が細かくて書きにくかったり、間違えると無効票になる可能性も出てくることから、候補者も、名前をひらがなで登録する人も多いですよね。
実際には、名前を書く投票台には候補者名が貼ってありますし、漢字を少し間違えても、候補者名と判別できれば、めったに無効票となることはありません。(参考:with news より)
しかし、万全を期して ひらがなで書く人も少なくないですよね。
テレビで、アナウンサーが話しているので「漢字で書かなきゃならなくなったのかな」と思ってしまうかもしれないですよね。
アドリブだったのか?台本があったのか、についての検証
TBS広報室は取材に、「東京都知事選の投票日当日に誤った情報を伝えてしまったことをお詫び申し上げます」と謝罪しました。
そして、誤情報については、このように答えました。
「予定していた内容ではありません」
J-CASTニュース 2024.7.8
「東京都の選挙管理委員会に事前取材したうえで制作にあたりましたが、打ち合わせ段階での齟齬により誤解を招く内容になってしまいました」
しかし、TBS広報の説明には、多くの人が首をかしげています。
①テロップと入場整理券サンプルが、事前に用意されていた
入場整理券についてのアナウンスについて、事前に入場整理券サンプルとテロップが用意されていました。
テロップにはハッキリ「身分証等で本人確認ができれば投票可能」と書かれています。
投票用紙サンプルも、事前に用意されていたものです。
小道具も用意され、事前に打ち合わせをした上で、放送された内容だと思われます。
②選挙関連情報は、スタッフに 厳しく周知されている
リポーター・放送作家でもあった ノンフィクション作家の細田昌志さんも、特に選挙関連情報については スタッフに厳しく周知されることを明かし、「『知らなかった』は考えられない」としています。
TBSでのキャスター経験者である 杉尾秀哉 参議院議員からも、疑問の声があがっていました。
③宇内アナウンサーが即答していた
このように、テレビの仕事をされていた方々が、選挙関連の情報の取り扱いについて明かしていたことから、間違いの無いよう念入りに打ち合わせされていると推察されます。
特にこの日は投票日、通常よりも慎重になりますよね。
勝俣さんに「ひらがなで書いてもいいですか?」と聞かれ、もし判らなければ、宇内さんはきっと、「確認しますのでお待ちください。」と言うはずです。
台本があったので、安心して答えたのではないでしょうか。
誰も知らなかった? 指摘しなかった?
これは筆者の肌感覚になりますが、これまで何度も投票に行ったので「ひらがなで書いてもOK」は、割と自然と頭に入り、記憶にありました。
それだけに、スタジオにいた人全員が これを知らないという事に違和感を覚えた人が、筆者の他にも大勢いました。
しかし、もし台本があり、スタジオの皆さんが「そうなったのね」と納得していたとしたら、宇内アナへの指摘は出ないでしょう。
しかし、もし カンニング竹山さんがいたら 訂正してくれていたであろうことと思います。
出演回ではなかったことが 悔やまれます。
都知事選での 蓮舫さんのムーブメントも知らなかった?
今回の都知事選では、蓮舫さんの政策に賛同した多くの人のムーブメントが起こり、SNSでも蓮舫さんを応援するムーブのひとつとして「ひらがなでもOK」や「ひらがなで『れんほう』と書いて来たよ!」とUPする人が大勢いて、話題になっていました。
Xで話題になったことが、いつも後からネットニュースになるくらい、マスメディアはXに注目しています。
しかも、都知事選の有力候補に関することで、この「ひらがなで『れんほう』と書こう」等のポストは、Xを開くと目に入ってくるぐらい多かったんですよね。
その記憶も新しい中で、誰も「ひらがなOK」を知らなかったことには、やはり首をかしげてしまいます。
④TBSは「都選挙管理委員会」に事前取材している
TBSは「東京都の選挙管理委員会に事前取材したうえで制作にあたり」「打ち合わせ段階での齟齬により誤解を招く内容になった」と説明していました。
しかし、前述したように、J-CASTニュースも都選挙管理委員会に取材しています。
両者とも、同じ都選挙管理委員会に取材し、その取材を元に J-CASTニュースでは「氏名、住所、生年月日を記してもらう・答えてもらう本人確認が一般的」と説明していますが、かたや TBSでは「本人確認には身分証が必要」 となっています。
検索して調べてみても、やはり「氏名、住所、生年月日を書く・口頭で答える方法が一般的」と出て来ました。
「齟齬が生まれた」というのには、疑問が残ります。
真実は、まだ判らないが、TBSは 経緯の説明を
ここまで疑問点について検証してきましたが、ハッキリした証拠が無いのも事実。
真実は、まだ判りませんが、TBSは 決して 宇内アナウンサー1人に責任をかぶせるようなことをしないでほしいです。
TBSの、丁寧な経緯の説明、真実が語られることを望みます。
TBSは、「訂正放送」を行う予定については「現在対応検討中です」としています。(2024年7月8日現在)
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