内閣府政務官に任命された今井絵理子さん。(2024年11月現在)
他には、生稲晃子議員も外務政務官に起用されているのですが、「アイドル内閣」と揶揄されています。
今井さんに限らずですが、議員が普段どんな活動をしているかは 報道されず、こちらから調べにいかないと、なかなか知る機会がないと思います。
今回は、今井絵理子さんの活動・実績をまとめてみました。
※筆者は自民党支持者ではございません。
事実を客観的にまとめています。
今井絵理子さんの活動・実績について
では、今井絵理子さんは、実際に、どんな活動をしているのでしょうか。
「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」事務局長として法案づくりに尽力
今井絵理子さんは、現在「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」(超党派)の事務局長をつとめています。(2024年現在)。
「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」とは?
2022年、障害のある人の情報取得や意思疎通を推進する「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案」が出来ました。
この法案は、障害者団体が2010年から要望していたもの。
障害者団体と、超党派の「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」が会議を重ね、当時の議員連盟会長だった衛藤晟一参議院議委員(自民)が原案をまとめました。(参考:福祉新聞 2022.5.30 )
2022年4月、この「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案(障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案)」は参議院を通過、その後 5月に衆議院で可決、施行されています。(参考:内閣府ホームページ)
「手話施策推進法(仮称)案」
現在は、2025年の通常国会で成立を目指す「手話に関する施策の推進に関する法律案(仮称)」づくりに取り組んでいます。
2024年7月に関係団体のヒアリングが行われ、司会は、議員連盟事務局長の今井絵理子さんが務めました。
2024年10月2日の総会でも、各団体からの意見を盛り込んだ「手話に関する施策の推進に関する法律案(仮称)」骨子案の修正内容を、今井さんが説明。
(参考:特定非営利活動法人 Information Gap Buster 2024.10.2 )
参議院本会議で、手話での質疑を行う
今井さんは2020年、参議院の本会議で、手話で質問を行いました。
今井さんは、この質疑に先だって、聴覚障害の当事者の方と協力しながら、国会質問の手話表現を考えていました。
「国際母子栄養改善議員連盟」の事務局長をつとめる
今井絵理子さんは、19歳の頃に、SPEEDとしてUNICEFのキャンペーンで、栄養改善活動の現場、ベトナム北部の少数民族の農村を訪れたことがあります。
当時のベトナムで、農村部の子どもたちが栄養不良に苦しんでいた現実を目の当たりにし、世界の貧困に目を向けるきっかけになったといいます。
SPEED時代に、ライブ収益の一部を寄付したりもしたそうです。
日本の「国際母子栄養改善議員連盟」は、医学誌『ランセット』が掲載した「世界で、多くの5歳未満の子どもたちが栄養不良が原因で亡くなっている(亡くなっている約660万のうち 約310万人が栄養不良)」という報告を受けて立ち上がりました。
今井絵理子さんは事務局長として、2021年に開催された「東京栄養サミット」に向け、「縦割り」体質な省庁間の調整に尽力しています。
各省庁が取り組んだ結果、日本から3年間で3,000億円の支援につながったといいます。
(参考:国際開発ジャーナル 2024.3.15 )
また、2021年11月26日、今井さんは「東京栄養サミット2021」のサイドイベント「栄養の危機の現場から~紛争および脆弱な状況下の栄養不良の課題と対策」に「国際母子栄養改善議員連盟事務局長」として参加しています。
セーブ・ザ・チルドレンが開催し、国連WFPエチオピア国事務所の支援事業者、国境なき医師団の医療コーディネーターと共に、紛争地域や脆弱地域などへの、具体的な支援策について議論を行っています。
議論の中で、当時のガザの支援についてもお話しがなされていました。
新生児 聴覚スクリーニング検査の公費負担をうったえ
2023年 今井さんは、新生児の聴覚スクリーニング検査の公費負担に向けても尽力します。
(今井さんの質問は、0:52頃~)
今井議員は、ご自身の経験談を交え、早期療育、教育のためにも、聴覚スクリーニングの全数検査を公費で行えるよう うったえました。
能登半島地震の被災地で、聴覚障害がある被災者と意見交換
今井さんは、2024年元日に起きた能登半島地震の被災地を視察、聴覚障害がある被災者と意見交換を行っています。
そして 2024年3月の参院予算委員会の質疑の場で、必要な支援について、次のように手話を用いてうったえました。
- 視覚障害者には情報が届きづらい。情報をひとつにまとめて解りやすく提供を。
- 様々な障害特性に配慮すること。誰一人取り残さない防災の実現を。
- 平時から、当事者・支援者を含めた話し合いの場を。
- 障害者、高齢者など、避難することが困難な方々がいる。1人1人に合わせて作成する個別避難計画の策定が必要。予め、避難について支援者と当事者が確認しておけるように。
- 災害時には手話通訳者の方も被災されている。手話通訳の配置ができるよう広域的な連携を構築する必要がある。
- 福祉避難所を、ニーズに応じて開設できるように。全国の福祉避難所をただちに検証すること。
障害を持つお子さんを育てる家庭への施策をうったえる
質疑の中で今井さんは、障害を持つお子さんがいる家庭への子育て支援が不十分なことも、うったえました。
- (今井さんが実際に)通所型の児童発達支援センターで「お母さん、仕事を辞めるか控えて、子どもに付き添い療育をして下さい。」と言われたことがあった。
このような障害を持つ・医療ケアが必要なお子さんの親が、育児と仕事の両立ができるような環境整備を。
(岸田総理は「現行の法制度では主に高齢者のみを念頭に置いていたが、介護が必要な子どもに応じた判断基準となるよう、見直しを検討する」と答弁。) - 仕事をするには、預かってもらう場所が必要。保育所などの環境整備、幅広い支援を。
議員になり、考え方が変わってしまったことも…?
今井さんは、2016年夏の参院選で初当選。
参議院議員として、障害者家族という当事者の視点から 主に障害者支援の施策に尽力されてきました。
一方で、以前と考え方が変わってしまったのではないか?と思われることも。
国会議員になる前の年、2015年の、今井さんのTwitter(現・X)への投稿です。
戦争を経験した方で戦争賛成派の方いますか?
もしそういう方がいらしたら、どうして賛成なのかを聞きたい。
戦争を経験していない方が賛成!というのは、どこか説得力がないでしょ。
今の日本の流れを拝見すると、
どこかプチ戦争なら賛成!みたいに見えるのはわたしだけでしょうか?
(引用元:当時の 今井絵理子さんTwitterより 2015.8.15)
今井絵理子さんは、このメッセージを、2015年の「終戦記念日」にツイートしています。
(※現在、このツイートは削除されています。)
当時の日本では、2014年に集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされるなど(2015年9月19日に採決が強行)、安保法制を進めようとする勢力、そして安保法制違憲訴訟も起こり、混沌としていました。
日本では今も相変わらず、芸能人が意見表明すると批判される社会ですが…
当時、今井さんのこのツイートを見て「カッコイイ!」と思った人も多かったですね。
しかし、その7年後の2022年、今井絵理子さんは、NHKの参院選候補者アンケートで、
改憲・緊急事態条項創設などに「賛成」と回答しています。
また、毎日新聞社のアンケートでは、
普天間基地の辺野古移設について「どちらかといえば賛成」と回答、
緊急事態条項にいたっては、「内閣の権限を強化するとともに、国会議員の任期延長を認めるべきだ」と回答していました。
ひぇぇ…内閣の権限を強化…
今井絵理子さんは、2016年にはまだ、朝日新聞からの「辺野古への移設問題を含む沖縄の今後について」の質問にこう答えていました。
そうですね。基地問題に関しては、基地の負担を軽減したいということは、皆さん同じ、共通の思いであると思っています。
私は、自分の目で見て、沖縄の方々の声をきちんと直接聞いて、そこで真剣に取り組めたらなと思います。
(引用元:自民党ホームページ 2016.2.9 )
沖縄ご出身の今井絵理子さん。
なぜ、考えが変容されたのでしょうか…
先ほどのNHKの参院選候補者アンケートでは、
「大企業や所得が多い人への課税を強化し、国の財源に充てることに賛成ですか。反対ですか」の質問には、
「どちらかといえば反対」と答えています…
政策については、自分の思うように話せないのかもしれないね…
「党内野党」といわれ期待された石破茂さんでさえ、総理大臣になった途端に「党内包囲網」に遭いましたものね…。
うるま市の自衛隊訓練場計画問題について質問
ただ、先ほどご紹介しました 2024年3月18日参議院予算委員会の質疑の最後の質問には、うるま市の自衛隊訓練場計画についての質問が入っていたことも、お伝えしておきます。
(参考:2024年年3月18日 参議院 予算委員会 自民党・今井絵理子)(19:32頃~)
今井さんは、当時の防衛省の計画に対して、一概に否定しないとしたうえで、
うるま市をはじめ地元に白紙撤回を求める動きが広がっていること、
住宅地や学びの場に近いという実情の理解が不足し、地元に対する説明も丁寧に行われなかったのではないか、
地元に寄り添う形で検討していただきたい、とうったえました。
それに対する木原防衛大臣(当時)の答弁は対照的で、淡々と早口で読み上げるだけの冷たい答え。
木原大臣は「説明した」そして「また説明に行く」とし、沖縄の方々に想いを寄せる言葉はありませんでした。
(ここで時間が来てしまう)
今井議員は、議長に「時間が参りました」と言われた後で、こう続けています。
(今井絵理子さん)
この件にかかわらず、全ての、沖縄に関わる政策に忘れてはならないことは、寄り添うという思い。
そして沖縄県民の、思いというものを、ぜひですね、総理も含め、政府の皆様には、思いを馳せて頂くよう、よろしくお願いします。
うるま市の問題に関わる質問が、たったこれだけの短い時間で終わってしまったため「これは茶番ではないか」という今井さんへの批判も当時、散見されました。
ただ、これは、党内の圧力の中で、今井さんのできる範囲では精一杯の、質問だったのかもしれませんね。
今井さんが途中から手話をやめて、口頭のみの質問に切り替えたことにも批判が集まりましたが、
もしかすると、最後のうるま市問題の質問の時間を少しでも取りたかったのかもしれません。
皆さんは、どう感じますでしょうか。
ぜひ、実際に質疑を見てみてください。(うるま市の訓練場計画問題に関する質問は、19:32頃~)
うるま訓練場計画は、その後 断念
自民県連まで反対していた、うるま市訓練場計画問題。
今井絵理子さんがこの質問を行った2024年3月、県議会も、うるま市議会も、中村市長、玉城デニー知事も、計画の白紙撤回・土地取得断念を求めます。
自民県連は、白紙撤回を木原防衛大臣に申し入れています。
うるま市では、保革を超えて、反対のムーブメントが広がったといいます。
翌月の2024年4月11日、木原防衛相は、うるま市訓練場建設と用地の取得を断念しました。
(参考:東京新聞 2024.3.27 /琉球朝日放送 2024.4.11 )
今井さんが議員になったきっかけ
今井絵理子さんが国会議員になったきっかけは、2016年、聴覚障害者教育福祉協会のイベントに参加していたところ、同協会会長の山東昭子議員(当時)に打診されたことから。
お子さんが高度感音性難聴でもあり、ご自身の経験から「障害を持っている子供たちが、より明るい希望を持てる社会づくりをしたい」と、立候補を決意されたそうです。(参考:自民党ホームページ 2016.2.9 )
その息子さんも、2024年10月に20歳になられたのだとか。
素敵な親子写真ですね!
アイドルから政治家になったばかりに、国会議員になった当初から 世の中の批判を浴び続けてきた今井さん。
しかし、今井さんのような「当事者の視点を持つ」議員が、国会には必要です。
政策を、良くするための観点から 批判していくのは大切なこと。
だけど、誹謗中傷は、絶対にしてはダメですよね!
私たち市民も、マスメディアも「アイドル内閣」などと揶揄するのではなく、ひとりひとりの議員の取り組んでいることや政策に着目していきましょう!
前述した「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」の活動のように、政治家と市民が一緒に意見交換をしていく場に、自ら参加する方法もあるでしょう。
党関係なく、また、「前の職業」や「世襲」というフィルターで見るのではなく、ぜひ「どんな活動をしているのかな」と調べてみてください。
勉強になりますし、けっこう面白いですよ。
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