星野源さんが紅白直後のラジオでかけた曲ご紹介!素晴らしい選曲に込められた思いや『ばらばら』のこと

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星野源さんが、2025年明けのオールナイトニッポンに出演され、話題になっています。
紅白歌合戦に出演された後すぐに、元旦の午前1時~3時(!)というハードスケジュールでしたが、私たちリスナーにとって楽しく、そして心に沁みる放送でした。

源さんがこの日、生放送のために選んだ曲を、ご紹介していこうと思います。

目次

星野源さんが 2025年1月1日の放送で選んだ曲(※2024年12月31日 深夜)

さっそく、星野源さんが、2025年元日のオールナイトニッポンで、かけた曲を、ご紹介します。

『Freedom ft.Kendrick Lamer』Beyonce(2016年)

新年1発目の曲として、源さんが選んだ曲は、ビヨンセの『Freedom ft.Kendrick Lamer』

女性の人権や人種差別問題に対する力強いメッセージが込められた楽曲です。
プロテストソングであるこの曲は、ジョージ・フロイド抗議運動(白人警察が黒人男性を死亡させる事件がおき、そこから人種差別と警察の暴力に抗議する運動が広がった)のデモの讃歌にもなり、抗議デモで歌われてきました。

この歌にこんな一節があります。

Won’t let my freedom rot in hell

Hey ! I’ma keep running

Cause a winner don’t quit on themselves

(引用元:UtaTen

(作詞作曲:KNOWLES BEYONCE GISSELLE , COFFER JONATHAN CHARLES , KENDRICK LAMAR , BEYONCE , LOMAX ALAN , LOMAX JOHN A SR , BENJAMIN ARROW , MCINTOSH DEAN CARLOS , TIRADO FRANK , WILLIAMS CARLA MARIE)

【和訳】
この地獄で 私の自由を腐らせない
私は走り続ける
なぜなら 勝者は自分が自分であることを 諦めないから

この地獄でも、私の自由を腐らせないで、走り続ける」という歌詞は、星野源さんの大切な楽曲『地獄でなぜ悪い』と通じるものがあるように思います。

『地獄でなぜ悪い』も、病床で、あるいは教室で、病気、孤独といった「地獄」の中で懸命に生きる、動けない場所から前に進む、という、絶望、そして希望を歌っています。
この曲は、「地獄を進む」多くの人を、今もなお 元気づけています。

『Freedom ft.Kendrick Lamer』の曲の最後に入っているのは、ビヨンセの夫 ジェイ・Zのおばあちゃんの声。
90才の誕生日の時のスピーチが、そのまま収録されています。

スピーチでは、こう言っています。

I had my ups and downs, but I always find the inner strength to pull myself up.

I was served lemons, but I made lemonade.

(引用元:UtaTen

(作詞作曲:KNOWLES BEYONCE GISSELLE , COFFER JONATHAN CHARLES , KENDRICK LAMAR , BEYONCE , LOMAX ALAN , LOMAX JOHN A SR , BENJAMIN ARROW , MCINTOSH DEAN CARLOS , TIRADO FRANK , WILLIAMS CARLA MARIE)

【和訳】
浮き沈みもありましたが、常に自分を引き上げる、内なる強さを得ることができました。
レモンを与えられましたが、私はレモネードを作りました(困難に直面した時にも、それを活かし 活路を見いだしてきました)。

「I was served lemons, but I made lemonade.」は、アメリカの慣用句が元になっています。

「When life gives you lemons, make lemonade.」
直訳すると「人生が、あなたにレモンを与えるなら、それでレモネードを作ればいい」。
人生において 逆境や試練に直面しても、それを活かして乗り越え、より良いものに変えよう!」という意味の慣用句です。

源さんが選んだこの曲に 元気づけられると共に、源さん自身の心情でもあるように感じました。

源さんは、ラジオ(ANN)の中でも、「2024年に悪いものは全部置いていった」と話していました。
『Freedom ft.Kendrick Lamer』の歌詞の中にある「I’m new(私は生まれ変わった)」というフレーズも、新年と共に新しい自分になり進むような、力強い歌詞だと思います。

この曲が収録されている、ビヨンセの6枚目のアルバムのタイトルも『LEMONADE』(2016年)です。
『Freedom ft.Kendrick Lamer』は、10曲目に収録されています。

『ばらばら』星野源(2010年)

2曲目は、星野源さんご自身の楽曲、紅白で歌った『ばらばら』です。
星野源さんのファーストアルバム『ばかのうた』(2010年)の1曲目に収録されています。

この曲を作ったのは、リリースした年(2010年)よりももっと前、源さんが25歳ぐらいの頃(2006年)だそうです。

源さんは、『ばらばら』を作って初めて、「自分の歌ができた感じがするな」と感じたといいます。

(星野源さん)もちろん音楽好きですから、いろんな人に もちろん影響を受けているんだけど、「自分の音楽、自分の歌、星野源の歌、星野源の音楽」っていうものができたなぁと、ハッキリ感じた一曲でした。

そして、15年前の曲ではあるけれど「今日歌っても、自分の中では、常に今のリアルタイムの曲」と、源さんにとって、誰にも似ていない自分の曲、とても大事な曲だと語ります。

(星野源さん)このモチーフというか、自分の中のテーマっていうか、歌詞の言葉とかも、他の自分の曲にも その都度都度、テーマとして現れてきたりもするし、自分の人生とずーっと並走する歌だな、と今日(紅白で歌った12月31日)も感じました。

参考:「星野源のオールナイトニッポン」2025年1月1日 1:00~3:00(2024年12月31日深夜) 放送回 より

星野源さんが、ギターで弾き語りしてくれた『ばらばら』 紅白ver.はこちらです。

紅白では、源さんは『ばらばら』の

本物はあなた わたしは偽物

(引用元:Uta-Net )(作詞作曲:星野源)

という歌詞を変更し、

本物はあなた 私も本物

(参考:『ばらばら』 紅白ver.)(作詞作曲:星野源)

と歌いました。

紅白放送時の字幕にも、この歌詞の変更は反映されています。

これには、源さんからのメッセージがこもっていますが、NHKご担当者さんの思いも一緒に、歌い上げているのではと感じました。

当初、紅白で源さんが歌うはずだったのは、『地獄でなぜ悪い』の予定でした。
これは、つらい思いをしている人も多い年の瀬に、日本中の視聴者に、大切な歌を届けたいという思いで NHKの担当者さんがオファーし、それを受けて源さんは、この歌の弾き語りのバージョンを準備をしていました。
NHKご担当者さんが この曲をオファーした理由

この曲は映画の主題歌にもなっていたため、その映画『地獄でなぜ悪い』の監督で 性加害事件が報じられた園子温氏を思い起こさせるとの意見が多く上がりました。
それを考慮し、星野源さんとNHK担当者さんは、曲目を『ばらばら』に変更しました。
そして、源さんもNHKも、あらゆる性加害行為を容認しないことを公式サイトで表明し、被害者に連帯していました。
この 源さんとNHKの対応は、多くの人の心に響き、称賛されました。

一方、悲しいことに、当初『地獄でなぜ悪い』が紅白の歌に決定した時、冷静な「意見」以外に、「誹謗中傷」もネット上にあふれたのです。源さんへも。NHKへも。
(冷静な意見も、もちろん沢山ありましたが。)

ネット上では「性被害者たちを透明化している」「最近の歌ではなく、わざわざ。園氏の復帰にお墨付きを与えるためなのか」という、ひどい誹謗中傷も上がりました。
さらに、選曲に対し「批判しない」人や、ただ『地獄でなぜ悪い』に救われた体験談をつぶやく人に対してまで、暴言が集まりました。

ストップ!いじめ・誹謗中傷 (出典:photoAC by Hades Free素材より)
イメージ画像(出典:photoAC by Hades Free素材より)

選曲の意図は、NHKの公式サイトを見に行けば分かることなのですが…

NHKのコンセプトは、自然災害や、未だ止めることが出来ない世界中の紛争による悲しみもあった、2024年の終わりにふさわしい「あなたへの歌」でした。

源さんもNHKの担当者も、当初は楽曲と性加害事件が結びつくとは、夢にも思わなかったと思います。

『地獄でなぜ悪い』は、源さんの闘病生活から生まれた、源さんの歌であることは、変わりありません。

誤解、憶測、そして誹謗中傷…そういった、相容れないことに対しての悲しみは、人類全体の課題です。
楽曲『ばらばら』のテーマとも、リンクしています。

『地獄でなぜ悪い』同様に、『ばらばら』にも、救われた人がたくさんいます。
『ばらばら』も、NHK紅白の「あなたへの歌」にピッタリの歌でした。

そして、

本物はあなた 私も本物

(参考:『ばらばら』 紅白ver.)(作詞作曲:星野源)

という、歌詞の変更は、本質をついていて 見事でした。

『ばらばら』についての解釈

にんげんは本来、多様な存在ですが、日本社会や、日本の学校で良くある「みんな仲良く」や「一致団結」というような「スローガン」は、にんげんの本質とは乖離していますよね。
マジョリティが「正解」とされ、「あなた」から見ると「私は“偽物”」という社会。
しかし、あなたの世界と私の世界、いろんな世界が重なり合ったところに、大切な、たった一つの、大切なものがあるのではないだろうか、と思います。
(※あくまでも、筆者の考察です。歌の解釈は、受け取る人それぞれのものです。)

そして、紅白での歌詞は、「私も本物」
どの人も「本物」であり、尊重されるべきひと。
「マジョリティの文化を正解、本物とする日本社会」から「偽物」と言われる人々に対して、堂々と「私も本物」って言っていいんだよ、という源さんの、人々に寄り添う力強い歌詞に、励まされた人は多かったと思います!

歌詞変更や、源さんの表情を見て「キャンセルカルチャーに対する怒り」と言う意見もありますが…違うと思います。

源さんもNHKも、曲を変更したのは「性被害者たちへの連帯」に他なりません。

源さんとNHKが紅白で届けたいのは「あなたへの歌」。
つらい思いをしている全国の「あなた」へ届けたい歌だったからこその、真剣な表情なのではないでしょうか。
自分へ届ける歌でもあったと、思います。

もし「怒り」も内包しているとすれば、全国の「あなた」を苦しめるものに対して、であったはず。

『地獄でなぜ悪い』 (Live at Tokyo Dome 2019)

この日(1月1日)のオールナイトニッポンで流れたわけではありませんが、『地獄でなぜ悪い』をご存知ない方は、ぜひ聴いてみてください。

2019年に行われた東京ドームのライブバージョンです。(『地獄でなぜ悪い』がリリースされたのは、2013年です。)

『Small girl feat. 도경수 (D.O.)』이영지 (2024年6月21日リリース)

3曲目は、이영지 (イ・ヨンジ)の『Small girl feat. 도경수 (D.O.)』です。

自分の背が高いことや、個性豊かで目立つ性格、大きな声で笑うことにコンプレックスを持っているヒロインの、切ない、恋の気持ちを歌っています。

「もし私が小さなほっぺ、ピンク色の唇だったら、私にキスしたかしら。細めのウエストに、茶色のロングヘアーだったら、私を抱きしめたかった?」と。

一方、彼は「僕はここにいるよ」と。「僕はいつも同じ。他の条件なんて最初から無いよ、恥ずかしがらずに、もっと近くに寄り添って」と、彼女に語りかけますが、彼女には自信がありません。

彼は決して、ピンク色の唇を持つ、華奢で茶色のロングヘアー、その全てを望まないと分かっている。けれど…それが私を孤独に感じさせるの…

そんな恋する女の子の、切ない気持ちが伝わってくる歌です。

MVでは、彼が「華奢で力の弱い」職場の同僚女性を助けるところを、彼女が偶然見てしまいます。
彼と並んで仕事をしている彼女は、彼よりも背が低い「可愛い」女の子…彼女は傷ついてしまいます。

彼女は巨大化し、どんどん、ビルや森の木々より大きくなってしまいます。
彼は、そんな彼女を助けに行きます。
いつも彼女にしてあげていたように、巨大化した彼女の指にも、でっかい絆創膏を貼ってあげます。
そんな彼の思いに、彼女の目から涙があふれ…

MVの中で、ド・ギョンス(D.O.)さんが イ・ヨンジさんのほっぺに軽くキスするシーンが話題になり、ふたりの初々しい ときめきの物語に、胸がキュンとしました。

『Small girl』は、イ・ヨンジさんに彼がいた時の、ご自身の経験談を元に描いた曲なのだそうです。

イ・ヨンジさんと彼は、同じくらいの身長(175cmくらい)だったのですが、2人で歩いている時に、身長が155cmくらいの女の子が来て、彼に話しかけたそうです。
2人が並んでいる姿を見た時のほろ苦い気持ちを、その日帰ってすぐ書いたのが『Small girl』でした。
(参考:Kstyle 2024.7.19

源さんは、「この間 イ・ヨンジさんに会ったばかり」と、1月1日のANNで明かしていました。

(星野源さん)この間、(イ・ヨンジさんが)日本に来てて、たまたま会えて「すごくファンです」って言ってくださって。
自分の歌も歌ってくれて、会えて嬉しかったですね。
素晴らしい人でした。

これには、リスナーたちもびっくり!
喜びの声が上がっていました。

源さんがヨンジさんと会った、と仰っていたのは、2024年12月に日本で行われた、ヨンジさんのツアー「2024 LEE YOUNGJI WORLD TOUR ALL OR NOTHING JAPAN TOUR」の時です。

源さんは、ライブは観られなかったけれど、楽屋に挨拶に来てくれた、と、ヨンジさん、感激していました。
それで、この日の予定には なかったらしいのですが、急遽、ヨンジさんが『恋』、歌ってくれたそうです!

https://twitter.com/dinochan_o211/status/1869762463127966032

イ・ヨンジさんは、中学生の頃から星野源さんのファンで、源さんの『恋』をずっと好きで歌っていたのだとか。

ラッパーとなったヨンジさんが、のちに、ご自身の日本のコンサートで歌ってくれることになるとは!
2024年1月30日、東京・豊洲PITで行われたコンサートのアンコールでも、『恋』の歌唱&恋ダンスを披露しました。

ヨンジさんがインスタで、恋ダンスを踊った動画を投稿したことも。
源さんご本人から「イイね!」もらっていました!


『What’s Going On』Marvin Gaye(1971年)

4曲目は、Marvin Gaye『What’s Going On』です。

曲紹介は「ニセ明」さん(笑)

「ニセ明」とは、源さんのなりきりキャラで、若き日の布施明さんのモノマネです。(布施明さんご本人公認らしいです!)

このキャラ設定のきっかけは、源さんが、くも膜下出血で手術した復帰後のライブ。

復帰後だから、お客さんに心配させないよう、楽しんでもらおうと、めちゃくちゃふざけることにしたそうです。
そうしたら「ニセ明」が大人気となり、やめられなくなったのだとか。

『What’s Going On』は、作詞者のひとりであるRenaldo Bensonが実際に目撃した 反戦運動を行う若者への警官隊の暴力、それを元に作られました。

1960年代の終わりから、1970年代にかけての様々な社会問題が、この歌のテーマになっています。
警察の暴力、人種差別…そしてこの曲は ベトナム戦争の反戦歌としても知られています。

『What’s Going On』は、愛こそが、憎しみを克服することを示唆しています。

You see, war is not the answer

For only love can conquer hate

【和訳】
わかるだろう、争いは答えではない
憎しみに打ち勝つことができるのは、愛だけだ

「What’s Going On」は、2004 年にローリング ストーン誌が評価した「史上最高の 500 曲」のトップ 5 にランクインしています。

源さんが元日のANNで選んだ曲に込められた思い、共通項

源さんが選んだ曲はどれも、生きづらさのど真ん中にいる人を励ます歌だったり、そのままの貴方が魅力的であることだったり、人権を世の中に問いかける歌であったりと、そんな共通項があったように思います。

試練は糧にして乗り越える、どんな人も「本物」であり 大切にされる権利がある、愛が憎しみを克服する…

この日、この瞬間、ファンやリスナーに向けて、そして源さんに向けての応援歌でもあったように思えます。

ANN リスナーからは、たくさんのメッセージ

源さんのオールナイトニッポン、元旦だけれど「めでたいという人ばかりじゃないよね、ていうか、めでたい人の方が少ないんじゃない?人間なんてマジで」と、今つらい人や頑張っている人に寄り添う、(そして面白い)いつもの源さんがいました。

1月1日(12月31日深夜)の午前1時という時間、源さんは番組の冒頭に「元旦のこの時間帯、誰も聴いていないんじゃない?笑」と言っていましたが…いえいえ、もちろん、いつも通り 多くの人が聴いていましたし、メッセージをたくさん寄せていました。

『ばらばら』最高でした。

紅白、泣きながら見ました。

自分と他人の関係性に悩んでいた時、『ばらばら』に優しく救われたこと、真っ暗だった高校1年生の時『地獄でなぜ悪い』によって、どうしようもない状態の自分を明るく肯定してくれたこと、絶対に忘れません。

電波を通じて、テレビの画面を通じて、こんなにも、重みと圧力を感じました。
源さんの思い、しかとテレビの前にいる私まで届いています。
年末に、本当に素敵なステージを見せて頂きました。
素敵な1年になりました。
これからも大好きです。

紅白での『ばらばら』、いろんな感情・思いを持った人たちに伝わったと思います。
「本物はあなた、私も本物」
歌詞が変わった『ばらばら』に込めた、今の源さんを見届けることが出来て、とても幸せでした。

源さんの来年が少しでも、つらいことの少ない穏やかな日々になりますように祈っております。

途中、源さんが感極まって、泣いている声が聞こえてきました。
このように温かいメッセージが、オールナイトニッポンでも他の所でも、源さんに、たくさん届いて。
リスナーの人たちも、源さんからのメッセージを受け取れて。

「ばらばら」な世界で「愛こそが、憎しみを克服する」世界を、ばらばらな私たちはつくれるよ、きっと、と思えた時間でした。

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