日本は遅れている「性教育」、教育先進国から学ぶべきもの・日本の民間での取り組みも

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性加害事件が報じられると、世間では「厳罰化を」という声が上がります。

もちろん厳罰化も大事ですし、厳罰だけでは防げないため 認知行動療法等での再犯防止も大事です。

そして何よりも、加害者を生まない社会を作ること、そのためには、性教育を含む「人権」教育が、本当に大切です

日本は、教育先進国に比べて、性教育が確かに随分遅れていますが、その状況を変えたい!の思いから生まれた様々な取り組みもあるんですよね。

今回は、そんな

  • 教育先進国各国の性教育
  • 日本での様々な取り組み

を、見ていきたいと思います!

目次

性教育、世界的なスタンダードは?

フィンランドの性教育

(2023年まで)6年連続で「世界で最も幸せな国」に選ばれているフィンランドのケースを見てみましょう。

「性教育」とは、単に生殖の仕組みを教えるだけではありません。

赤ちゃんが生まれてくるまでのことは大切なので もちろん学びますが、今(フィンランドに限らず)世界的に行われている「性教育」とは包括的性教育のことを言います。

人権、ジェンダーの平等の重要性、人間関係、多様な愛の形・家族の形、ジェンダー・アイデンティティ、自尊感情、自分の体を大切にすること、差別や性的虐待の脅威についても、きちんと知る・考える・対話しながら学んでいく、それら全てが「性教育」の学びに含まれます。

世界的な性教育のベースになっているのが、UNESCO(国連教育科学文化機関)の「国際セクシュアリティ教育ガイダンスです。

最新の科学的根拠と、数多くの国際的な人権に関する文書(世界人権宣言、子どもの権利条約、経済的・社会的および文化的権利に関する国際規約、女性差別撤廃条約、障害者権利条約など)を基盤としています。

すべての個人の、教育を受ける権利・最高水準の健康・ウェルビーイング(幸福)を獲得する権利を強調しています。

(参考:UNESCO UNESDOC Digital Library より)

「LGBTQ」
(出典:Free素材pexels alexander grey)
(出典:Free素材 pexels alexander grey)

性行為に対する考え方、性感染症のこと、避妊方法など、具体的な正しい性知識も、しっかり学んでいます。

実際に、フィンランドの中学校の性教育の教科書には、具体的に
「消費期限が過ぎているコンドームは使えるか?」
「コンドームを買うのは、男性の仕事?」
「セックス中にコンドームが破れたら、どうするか」
等の問題が載っていて、これらをしっかり知る・考える学習をしています。
(参考:フィンランド教育チャンネルより)

生殖器についての本で学ぶ子ども
(出典:Free素材 pexels cottonbro studio)
(出典:Free素材 pexels cottonbro studio)

フィンランドの子どもたちは、幼児期から学んでいます。

自分の体は自分のもの。お友だちの体はお友だちのもの。手をつなぎたい、って思ったら、先ず相手に聞いてみよう、とか、自分がイヤだったら、そう伝えていいんだよ、とか…自分の気持ちに向き合いながら、自他境界線・コミュニケーションを学んでいきます。

子どものための性教育絵本などで、「赤ちゃんはどのように生まれてくるのか」ということも、具体的に学校で学んでいます。

受精卵のでき方、全ての女性が子どもを産めるとは限らないこと、恋、結婚、愛を育む(SEX)について、家族の多様性について、等々。子どもの頃から、しっかり「家族や愛の形は色々あるんだよ」ということを教わっています。

ドイツの性教育

ドイツでも、子どもの頃から 親子で性教育の絵本を読んだり、思春期になった子どもに親がコンドームを渡すこともあるなど、性にポジティブで オープンです。

学校の授業でも、もちろん性教育が行われています。

専門家が学校に来てワークショップを行うこともありますし、先生が行う場合は、学校の先生がPro Familia(若者の性教育に取り組んでいる団体)で事前に講習を受けることができるなど、「先生たちが学ぶ場」も充実しています。

ドイツの性教育で学ぶこと

  • 「SEX」は必ず「避妊」とセットで学ぶ
  • 緊急避妊薬について
  • 性病の防ぎ方
  • LGBT・第3の性
  • 性行為の同意や拒否について

ドイツの性教育で、個々の「生き方」に対して口出しするようなことは言いません。例えば…

仮に女の子に対して「将来子供を産むのだから自分の身体を大切にしましょう」と教えれば、遠回しにその女子生徒が将来子供を産むことを前提にしているため、女子生徒の「生き方」への口出しになってしまいます。

男の子に対して「相手の女性が妊娠したら結婚しなくてはいけない」というようなことも個人の「生き方」に踏み込むことになるので、性教育の際、専門家や先生からそういった発言はありません

PRESIDENT ONLINE 2020.9.18 より

これ、日本の大人の中には、まだまだ言ってしまう方がいらっしゃいますよね…

そうならないためにも、個々の生き方の尊重、人権を学ぶ場が、日本にも必要ですね!

日本でも様々な取り組みがある

「#なんでないの」プロジェクト

#なんでないの」プロジェクト発起人の福田和子さんは、留学先のスウェーデンで、日本の性に対する知識・避妊などの選択肢が遅れていることに気付き、帰国後にこのプロジェクトを立ち上げられました。

#nande naino はこちらです(日本語・英語バージョンがあります。日本で困っているけれど 日本語が読めないかたへ 伝えていただければと、思います)

  • 世界では当たり前のように使われている避妊法の多くが認可されていない、多くの国では薬局で買えるアフターピルが日本では受診しないと買うことができない、という、日本に「ないものだらけ」の今を知る
  • この状況を変えるためのアクションの連帯
  • 日本には無い避妊法などが詳しく紹介されています。
  • 性に関わるお役立ちサイト(セイシルなど)がたくさん紹介されています。
  • 「これ、性暴力かもしれない」「妊娠したかも…」という、今、緊急に助けを必要とする人のための相談窓口が心配事に応じて複数 載っています。

「アクロストン」さんの性教育の出前授業

「アクロストン」さんは、医師のご夫婦のユニットです。本業のかたわら、学校やフリースクールで、体や性に関するワークショップを行っています。

アクロストンさんXより

ここで紹介されている授業は、(自宅避難中という設定で)「避難所に行って生理用品をもらってきてほしい」と頼まれた時に どうすればいいのかを考えるワークショップ。

実際に、実物の生理用品(ナプキン、タンポン、月経カップ)や説明書を見て、子どもたちが考え、話し合います。

避難所には意思決定者に男性が多く、女性が少ないことの問題や、何が使いやすいかは本人の意思を聞くことが大切だということも学びました。(参考:EduA 2023.1.19 より)

アクロストンさんは、ワークショップのほか、性教育の本も執筆されています。

おすすめ性教育絵本

日本でも、性教育絵本を活用して 親子で一緒に学ぶ、子どもたちに伝える、という場面が浸透してきていると感じています。

絵本は、親子で性や人権を学ぶのにお役立ちのツールです!

「おちんちんのえほん」

やまもとなおひで 作 / 佐藤真紀子 絵

Xより

「おちんちんのえほん」の内容

  • 男の子と女の子の体の違い
  • 赤ちゃんが生まれてくるまで
  • 自分の身を守ること
  • プライベートゾーンについて
  • おちんちんの洗い方
  • 汚した下着の洗い方

「ようこそ!あかちゃん せかいじゅうの家族のはじまりのおはなし」

レイチェル・グリーナー 文 / クレア・オーウェン 絵

Xより

「ようこそ!あかちゃん」の内容

  • 性別による体の違い
  • 受精から妊娠までの経過
  • 生物学的な性と心の性
  • 血のつながりがあっても無くても家族
  • 同性婚
  • 不妊治療・代理出産について
  • 帝王切開のこと

いろんな家族のかたち、人権が、自然と理解できる構成になっています。おすすめ ♡

「いま、子どもに伝えたい性のQ&A」

アクロストン 著

Xより

「いま、子どもに伝えたい性のQ&A」の内容

  • 医師夫婦ユニットのアクロストンさんが、性について・体の仕組みを解説
  • ママ&パパアンケートであがった性の疑問にQ&A形式で答えていく

    (Q「赤ちゃんって、どうやってできるの?」「エロ動画を見た履歴を発見。どうすればいい?」などなど)

先ほど「出前授業」で ご紹介した「アクロストン」さんの本です。

人権を大切にする社会に

日本においては未だ、性被害を訴えるまでにかなりのハードルがあり、勇気を出して訴えてもなお「自衛が出来ていない」などセカンドレイプに遭うことが多いため、日本社会が人権について学ぶことが喫緊の課題です。

繰り返しになりますが、何よりも「加害者」が生まれないために。幼い頃から自分を大切にする・相手を大切にする包括的性教育を、日本でも当たり前にしていきたいですね!

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