ランゴ兄さんBPOの件は、どうして?あのシーンについて解説!【仮面ライダーガヴ】

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「仮面ライダーガヴ」36話中のランゴ兄さんのセリフについて、視聴者からBPOに報告があったことを、ご存知の方は多いのではないでしょうか。

実際に、そのセリフと、その背景にあるお話しを追っていきながら、これについて 考えていきたいと思います。

「このセリフには意味がある」と思った方、逆に「つらい」と感じた方、また、違う見方をされた方もいらっしゃると思います。

本記事が、皆様の 考える材料になりましたら、幸いです。

この記事は、「仮面ライダーガヴ」 第35話・第36話、第1話のネタバレを含みます。
「たった一言」のセリフの検証ですが、話全体を見てみないと分からないことがあるからです。

全てではありませんが、ランゴとショウマの物語に関連するシーンは、詳しく書いております。
まだご覧になっていない方は、 第35話・第36話を観てから お越し頂けると幸いです。

目次

BPOには、どんな報告があったのか

「何?俺がBPO案件だと?」とランゴ兄さんもビックリしていそうですが、
視聴者からBPOへ、仮面ライダーガヴの「とあるシーン」についての意見が寄せられました。

以下、引用いたします。

子ども向け特撮ヒーロードラマで、中年男性が弟である主人公に「お前は生まれてきたこと自体が間違いだった」と存在意義を否定し、自殺に追い込もうとするせりふがあった。

子どもが見ている番組で、このような残酷なせりふを使わないでほしい。

(引用元:BPO放送倫理・番組向上機構「5月に視聴者から寄せられた意見」

これは、第35話、第36話に出てきたシーンです。

では、どんなシーンだったのか、詳しく見ていきましょう。

実際の第35話、第36話は、どんなお話しだったのか?

第35話について

先ずは、第35話を、振り返ってみましょう。

一応、「仮面ライダーガヴ」をご覧になっていない方のために、この「兄弟」の背景について 簡単に説明します。(クリックすると、読めます。)

「仮面ライダーガヴ」には、人間の世界、グラニュートの世界という2つの世界が出てきます。
主人公ショウマ(仮面ライダーガヴ)は、人間とグラニュートの間に生まれた「ダブルのルーツ」を持つ子どもです。

子どもの頃からショウマは、1番上の兄ランゴはじめ、他の兄、姉たちから「人間の子ども」と差別され、イジメられてきた過去があります。

ガヴのお話には、人間をさらって お菓子(闇菓子)のスパイスとして利用するという犯罪を犯すグラニュートたちが登場するのですが、それが、ランゴと そのきょうだい達で経営しているストマック社です(今はグラニュート世界の大統領の支配下にありますが)。

ショウマは人間の世界に来て、仮面ライダーガヴとして、ストマック社から人間を守るために闘っています。

しかし人間の中にもまた、誤解からSNSで誹謗中傷をしたり、見た目から ガヴ(ショウマ)のことを「バケモノ!」と呼ぶ人たちがいました。

人間界に来てからも、様々な困難がありましたが、ショウマは仲間たちに支えられ、成長していきます。

今回の第35話、36話は、ショウマとランゴのやり取りを通し、ショウマの成長が描かれています。

第35話の後半のシーンを見てみましょう。

ランゴの「大量の人間をさらう」という作戦で、飛行機の乗客が狙われ、ショウマたち(ショウマ、絆斗、ラキア)はそれを阻止するべく、空港へ向かいました。

いつもは、ストマック社の「バイト」のグラニュートと闘うことが多いのですが、第35話では ランゴ兄さん じきじきに登場します。

そしてランゴは圧倒的な強さを見せ、3人ともランゴの力に及ばず、倒れてしまいます。

ショウマの上に覆いかぶさったランゴは、ショウマに対して、こう言います。

(ランゴ)
赤ガヴ…お前はずぅっとそうだ。
何ができるわけでもない。力があるわけでもないのに、ただただずうっと目障りだった。
親父がお前たちを見せてきた時の、俺たちの気持ちが分かるか?

(ここで、ランゴの回想シーンです。)
ある日、ランゴたち きょうだいのところに、父であるゾンブが、人間の女性と赤ちゃんを連れてきます。
「私の新しい妻みちると、お前たちの弟、ショウマだ」

新しい妻、そのうえ人間ということが、ランゴはじめ、きょうだい達には、受け入れられません。

過去の回では、お父さん(ゾンブ)はショウマのガヴを強化する改造などで忙しく、子どもだったジープとシータをないがしろにする場面もありました。
そんな感じで、きょうだい達の寂しさは、ショウマに対する憎しみになっていきました。

そのうえ、ゾンブは、ショウマとみちるを大事にしていたわけでもありませんでした。

それをふまえて、次のランゴ兄さんのセリフを見ていきましょう。

(ランゴ)
あの時からストマック家はおかしくなった。
何も知らないという顔で、おどおど俺たちの顔色を伺い、生き延びようとするこざかしい人間の子ども。
力ある者が絶対だったグラニュートの世界において、弱いくせに庇護され続けただけの異分子。

(ショウマ)
知らない。そんなの俺のせいじゃない!

(ランゴ)
それこそ俺にはどうでもいいことだ。
もうお前を守るものなど何ひとつ無い。

(ショウマ)
うるさい!

(ランゴ)
存在し続ける理由なんてどこにも無い。

(ショウマ)
そんなこと…

(ここで、ショウマの回想シーン)ショウマは、つらかった 色んなことを思い出します。
子どもの頃、双子の姉、兄であるシータとジープに、ショウマが お誕生日祝いのお花を渡そうとしたら、「あっち行け!」と踏みつぶされた時のこと。
ガヴの姿で人間を助けようとしたら、その人から「バケモノ!」と呼ばれた時のこと。

この後です。
ランゴは、あるセリフを言います。
が、ちょうどその瞬間、飛行機が2人の頭上を飛び、ランゴのセリフが飛行機音にかき消されました。

視聴者には聞こえなかったのですが、ショウマには聞こえていて、悲しそうな表情で、首を横に降り、抵抗します。

ランゴにも、父親に新しい妻と子ができてからの寂しさ、そこからの恨みつらみをショウマにぶつけた、「(父ゾンブの)子ども」としての表情がにじんでいましたね。(ショウマとショウマのお母さんは、何も悪くないのだけれど。)

「BPO案件」となったのは、この「聞こえなかった部分」です。

筆者は、最初テレビで視聴したのですが、飛行機音にかき消されたランゴのセリフは聞こえませんでした。

Xで「口の動きで何となく解った!〇〇〇と言っていたと思う」という声を見かけ、さらに「イヤホンで視聴していたら聴こえた」という方をお見受けしたので、筆者もイヤホンで視聴してみました。

イヤホンで視聴したところ、筆者は「赤ガヴ、お前は生まれてきた…違…」と、かろうじてセリフの前半部分を聴くことが出来ました。

ファンは「ランゴの気持ちを想像すると、こう言うのではないか」と想像できるため、推察しながら口の動きを読むため、言っていることが見えるのだと思います。

演出としては「視聴者には聞こえないが、ショウマには聞こえてる」でした。
ちなみに、字幕にも、「飛行機の飛行音」と出ています。

台本には書かれているセリフではあったので、瀧島プロデューサーから「字幕で書き起こさないで下さい」と担当者さんに、お願いをされたのだそうですよ。
(参考:第35話 オーディオコメンタリーバージョンより)

普段から口の動きを読み慣れている方は、字幕なしでも解ったと思います。


この演出をふまえて、このお話の続き、第36話を見ていきましょう。

第36話について

次に、36話を振り返ってみます。
(今回も、ランゴとショウマの物語に焦点を絞って、関連のある場面を拾っています。)

36話では、前回35話で飛行機音にかき消されたランゴのセリフが、明らかになります。

場所は、ラキアが今 住んでいる、もと酸賀さんの研究室。
ショウマがラキアを手当てしていますが、絆斗がショウマのことを心配そうに見ています。

絆斗は、ランゴがショウマに発した その一言を聞いてしまったのです。

それは、

(ランゴ)
赤ガヴ、お前は生まれてきたのが間違いだったんだ

というセリフです。

その時、絆斗は近くに倒れていたものの、飛行機の あの轟音の中、ランゴのセリフが聞こえる距離ではなかったはずですが…
そこは、仮面ライダーヴァレンの力が身体に宿ったことで 人間には無い聴力が身に付いたのかも?

いづれにせよ、「絆斗が」思い出すことに意味があるシーンです。

この、36話にある 絆斗の回想シーンで、視聴者にも、このランゴのセリフが初めて明かされました。

このランゴのセリフが、BPOに意見が送られたセリフです。
送った方は、35話ではなく、36話を観て、意見を送ったと推察されます。

36話の続きを見ていきましょう。

絆斗は、ランゴにこう言われてしまったショウマのことをとても心配し、こう声掛けしています。

(絆斗)
ショウマ、さっきのあれ、気にすることねえかんな。

ショウマは、内心ではつらそうなんだけど、笑顔を作って、こう言うんですよね。

(ショウマ)
俺は、全然大丈夫。気にしてないよ。

絆斗は、大量失踪事件を少しでも防ごうと、人間たちに注意喚起を促すため、少しグラニュートの情報を流してみないか、と提案しました。

グラニュートである ショウマとラキアは、それで皆を守れるなら、と絆斗に同意します。

しかし、少し経ってから絆斗が書いたブログのコメント欄を見てみると、ビターガヴをショウマだと誤解した人たちが「こいつはバケモノだぞ」「近所の駄菓子屋さんが仮面ライダーに襲われてた」「人を襲っている動画見た」など、あらぬ噂で埋め尽くされていたのです。

「これ、ショウマには見せらんねえな…」絆斗は悩みます。

ラキアもショウマも、出来ることをやろうと、それぞれ行動しています。
ショウマは、グラニュート界と人間界を繋ぐ扉を探しますが、一向に見つからなくて、焦ります。
そういった時の無力感から、ショウマはランゴから言われたこと、子どもの頃にきょうだいからいじめられていたことを、思い出してしまいます。
(ランゴ「何が出来るわけでもない。力があるわけでもないのに。」「存在し続ける理由なんてどこにもない」「お前は生まれてきたことが間違いだったんだ」)

ランゴの弟であり、ショウマの兄でもあるジープが、「次に人間を襲う場所」についてショウマに伝えてきました。
ショウマを その場所に向かわせ、ランゴにぶつけるために。

「次に襲う場所」それは、幸果の友人、りっつんが楽しみにしていたライブでした。
危険を伝えるも止められず、りっつんはライブ会場へ向かってしまいます。

ショウマは、またも無力感にさいなまれ、ランゴに言われたことが再びフラッシュバックし苦しみます。

落ち込むショウマのために、何かできることはないか、と、絆斗は 自分のタブレットを見返してみています。

すると…コメント欄が「仮面ライダーに助けてもらった」という書き込みでいっぱいになっていたのです。
(しっかり、過去回のエピソードも出てきます!)

「バケモノ呼ばわりされてたけど、俺たちのことを守ってくれてたってこと?」
「僕の動画チャンネルを乗っ取った化け物に襲われそうになった!」(人気バーチャル配信者「カブトダンシ」のお話。第25話・26話)
「仮面ライダーが、バケモノに襲われてる女の子を助けてる動画見た。」
「僕を助けてくれた仮面ライダーを悪く言うな!」
「あの化け物危ないです。ロマンス詐欺の手口を使って襲ってきます。たまたま仮面ライダーに助けてもらったけど、気をつけた方がいいです。」(ロマンス詐欺のお話は、第11話です)
「俺は仮面ライダーを信じる」

絆斗がタブレットをショウマに見せると、ひとつひとつのメッセージを読みながら、ショウマの表情が、もう泣きそうになっていくんですね。嬉しくて。
ここは、胸にぐっとくるものがありました。

(絆斗)
俺たちが…いや、お前が助けてきた人たちだ!

次にショウマが目にしたのは、
「うちの子も、バケモノに襲われたことがあります。今思えば、助けてくれた方が、仮面ライダーなんですね。感謝しかないです」という投稿。
そして、第1話で ショウマが身体を張って親子を助けたシーンが、回想シーンで流れます。

これは、象徴的なメッセージでした。
ショウマは、第1話で、この母親から「バケモノ」と誤解されていたのです。

【第1話について】
第1話で、ショウマは子ども(始くん/平野絢規くん・演)を守ろうと グラニュート(グラニュート・ハウンド)に立ち向かいますが、最初は 歯が立ちませんでした。
グラニュート・ハウンドから「弱いヤツはすっこんでろ」と言われ、ショウマは、子どもの頃のこと、お母さんがストマックの犠牲になったこと…という ツラい記憶がフラッシュバックします。

「何で俺は弱いんだ。だから何も守れない」と、自分を責めるシーン。
自分のお母さんが目の前で「ヒトプレス」にされてしまい、お母さんを守れなかった自分。
その記憶が、ショウマを苦しめます。

そこに、たくさんのゴチゾウが現れ、彼らに言われて、ショウマはゴチゾウをお腹のガヴにセットし、初めて仮面ライダーガヴに変身。

始を守るために、グラニュートと闘うガヴ。
そこに、始の母親が駆けつけるのですが、「きゃあ、バケモノ~!2匹も!」と叫ぶのです。
グラニュートは、親子を攻撃しますが、身体を張って親子を守ります。
「違うよ、お母さん。1人は…」と始が言おうとしたのですが、お母さんは言葉をさえぎり、始を連れて逃げました。

ちなみに1話には、グラニュート・ハウンドを追って ガヴが街中まで行くと、目撃者が口々に「バケモノ」と言うシーンもあります。
それを(まだ仮面ライダーヴァレンではなかった)絆斗が聞いて、「バケモノ?」と驚くシーンもあります。

グラニュートを初めてやっつけたショウマの「俺にも…守れた」という言葉。
あらためて、1話から ショウマはずっと葛藤し、成長してきたのだな…と思いました。

そして、 1話でショウマのことを「バケモノ」と誤解していたお母さんが、36話で感謝を伝えてくれたんですね。

(1話で「バケモノ~!」と呼ばれたシーンは、35話の回想シーンにもありました。)

ショウマが あの時受けた心の傷が、ここ(36話)で回収されているんですね。
「第1話から今まで」ショウマが、ずっと地道に人間を助ける活動をしてきたことと、その想いが、人間界の人々に伝わった…むくわれた瞬間でした。

(ショウマ 心の声)
そうか…たくさんの人たちが、俺のことを信じてくれてるんだ…

ショウマは、人々から勇気をもらい、ランゴと闘うことを決心します。

ショウマには、もう迷いはありませんでした。
ランゴは、圧倒的に強いと分かっている。そのうえで、自分を信じて「絶対止める。倒せなくても、足止めだけは、絶対に。」と、決意の顔。その後の笑顔。ショウマ、凛として とっても良い表情をしていました。

そしていよいよ対決の時。
ショウマはランゴと対峙し、こう言います。

(ショウマ)
兄さん。昨日言ったよな。
俺が生まれてきたのが間違いだって。

子どもの頃も同じこと言われた。
あの時は母さんに泣きつくしかなかった。

ランゴは、ショウマの子どもの頃にも、ショウマに同じことを言っていたのです。
だから、ショウマは自己肯定感を保てず、そのことをずっと引きずってきました。

しかし今のショウマは、違います。
勝てる見込みなんてないけれど、堂々と、自信に満ちあふれています。

ショウマは、こう続けます。

(ショウマ)
でも今は、間違いで生まれたのでも、そうじゃなくても
俺のことを好きになって、信じてくれる人たちがいる。

俺のことを助けてくれる人たちもいる。

持ってた能力を活かすこともできる。

美味しいものも食べられる。

幸せな時間がある。

ストマック家の、ランゴ兄さんの弟としては間違いだったかもしれない。
でも、今ここにいる俺は、ショウマは、
ここに居られて良かったと思ってる。

そしてショウマは、兄さんに、とびっきりの笑顔を見せるんです。
自分は、生まれてきて幸せだ!という、ランゴ兄さんへのアンサーです。

そしてランゴ兄さんも、弟の心の強さ、その成長に、ふっと顔がゆるむ瞬間がありました。

決着をつけに来たのですが、2人が初めて「兄弟」になれた瞬間を見た気がします。

ここのシーン、知念さんと塚本さんの演技、本当に素晴らしかったです。

(ショウマ)
だから絶対に守る。
俺を、今の俺にしてくれた この世界を。
みんなを。絶対に。

このショウマの思いを感じて、ゴチポッドの中のゴチゾウちゃんたちも 力をもらい(感動でゴチゾウちゃんたち、泣いていましたね!)、ゴチポッドも変化します。

ショウマは「仮面ライダーガヴ マスターモード」に変身!「これは今までとは違う。静かな力が湧いてくる。」

今までにない力を身につけたショウマ。でもランゴは強い。
闘いの途中、「どうする?」と自分に問いかけながら、ゴチゾウに助けられながら、ショウマは方法を見出していきます。

最後は、新しい必殺技が炸裂します。
それは、ゴチゾウボトルたちがランゴを囲み、一緒になってショウマが技を繰り出していくというもの。
みんなで協力して闘う、というのを表しているように見えました。

ランゴ兄さんの圧倒的な強さを、速さと知恵で、突破して、ついに勝利したのです。

【余談】ランゴですが、ショウマに倒された後も、実はどこかで生きているのではないか、という考察があります。

理由は、
・ランゴを演じた 塚本さんのクランクアップ、オフショットで見てないよね?
・この回で退場なら、ランゴの顔に、わざわざ大きな切り傷を付ける必要なくない?

これらの疑問により、ランゴの再登場が噂されております。

ライブ会場では、りっつんはじめファンたちが、グラニュートに毒で眠らされてしまうのですが、絆斗とラキアが、無事食い止めました。

りっつんは、ライブ後迎えに来たショウマたちにこう言います。
「さっち(幸果)たちの言う通り、うちら多分、ホントに襲われたんだと思う。でもきっと、また仮面ライダーが助けてくれたんだよね。」

実際の第35話、第36話 制作の背景

では、この2つの話の背景も見ていきましょう。

第36話のオーディオコメンタリー(1:30頃〜)で、杉原監督が明かしていたのですが、35話の台本には、ランゴのセリフ(「赤ガヴ、お前は生まれてきたのが間違いだったんだ」)に、飛行機の音を被せるとは書かれていませんでした。
それを敢えて、「36話までの内緒」にしたんですよね。

(杉原監督)すごいエグいセリフではあるないですか。
ショウマはずっと気にしてたであろうし、ランゴはずっとそう思ってたというセリフでもあるんで。
なんか簡単に聞かせたくないっていうのがすごいあって。
だから視聴者の皆さんが35話観た時に、すごくアレが引っかかってくれたら良いなあ、っていうのがあって。
それほど大事な一言だったんだよ、っていう振りでもあるんで。

「赤ガヴ、お前は生まれてきたのが間違いだったんだ」というセリフは、第36話後半の、ランゴ兄さんに対する「ショウマのアンサー」に繋がる一言なので、演者さんたちも 大切に演じていました。

ランゴ役の塚本高史さんは、現場で演じていた時、兄弟の繋がりを感じたといいます。

(塚本さん)
俺は言う側で、受け取るショウマの表情だったり、そこで兄弟の繋がりみたいのを感じた一言でもあったから、もちろん大事な一言だったなぁっていうのは、僕も印象に残ってますね。

ランゴのセリフもまた、父親を「ショウマに取られた」という苦しみ、葛藤を抱えていた「弱いお兄ちゃん」の部分でもあるんですよね。

ショウマ役の知念さんも、「ショウマの心の中にずっとあったもの」について、こう話します。

(知念さん)
ショウマが人間世界に来て、ずっと明るく幸せになる為に生きてきたんだけど、ずっと小さい頃からきっと葛藤があって、
グラニュートと人間の間に生まれてしまった「ハーフ」っていう、どっちの側にいても自分ってどういう存在なんだろうって常に問いかけ続けてきたと彼は思ってるので

そして、中盤、クライマックスへと話が動いていく過程で、知念さんは、ショウマの心の動きを大切に表現してきました。

(知念さん)
あらためてショウマが人間を守る理由で 今ここにいて、「これからも守っていくんだ」っていう決意と、
絶望して、仲間に助けられて、ランゴという壁を越える(超える)っていうのが丁寧に描かれていて、ホント観ててスカッとした

杉原監督も、「ショウマが、自分のやってきたことが間違いじゃなかったっていうのを、ちゃんと自分で自覚して、ランゴに、ちゃんと強く伝えることが出来るぐらい成長したっていうのが、35話と36話のキモだった」といいます。

オーディオコメンタリーバージョンは、TTFCで観れます(有料です)。
出演俳優さんや監督さん等が、番組制作の裏話を語ってくれています!

36話は、ツラい状況にいる人へのメッセージ

手でつくったハートの形 (出典:Free素材Pexelsより by Jasmine-Carter )
(出典:Free素材Pexelsより by Jasmine-Carter )

飛行機音にかき消された演出があったからこそ、私たちは 35話の後「ランゴ兄さんは、ショウマに何て言ったんだろう?」と色々考えることが出来ました。
今までの話を見返してみた方もいたでしょう。
36話までの1週間、2人の関係について、ゆっくり咀嚼して考えることが出来たんですよね。

36話 前半で ランゴのセリフ「お前は生まれてきたのが間違いだったんだ」が明らかになり、それはショウマが子どもの頃から抱えてきた苦しみだと知ります。
そして中盤で、ショウマは 人々に勇気をもらいました。
そして、後半のクライマックス。
ショウマは今までの自分を肯定し、「生まれて来て良かった!」を堂々とランゴに言い返します。

この 35話・36話のテーマは、ショウマと同じような「苦しみの中にいる人」へのメッセージだと思います。

例えば、現実の人間世界では、多様な子どもたちが「同じことを同じペースで」やらなければならない 学校システムの中で育っています。
人権侵害の校則もまだ多く、その校則も、大人たちが決めてしまっている学校がまだまだ多いですよね。
何より、学校や家庭で「しかられて」、自己肯定感をそがれている子は、実に多いです。

現在では、「しかる」には効果が無く、副作用も大きいことが、脳科学の研究で 分かっています。

ランゴの一言は空想の物語ですが…現実社会に「僕なんて生まれてこなければ良かった…」って言う子、そう思ってしまう子は、実際に多いです。
子どもだけではなく、大人でも、自己肯定感を持てず、苦しんでいる人がたくさんいます。

ショウマの「アンサー」には、実際にその人たちへの想いがつまっていました。

「あなたのことを好きになってくれる人、助けてくれる人はいるよ」

「あなたは、何も出来ない人なんかではなくて、もうすでに得意なことがあるよ。それが活かせる場はあるよ」

「美味しいものを食べて、幸せな時間を過ごそう」

「あなたが、ここに居てくれて良かった」

ショウマのセリフを、二人称に置き換えてみると、このようなメッセージになりました。

36話を見て、救われた人、励まされた人、知念さんと同じくスカッとした人は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

35話・36話の視聴者の感想は?

35話の感想

視聴者の皆さんの 35話感想(一部)です。

今日のガヴ、ランゴ兄さんの「お前は生まれてきたことが間違いだ」ってセリフに飛行機の音を被せて聴き取りづらくする演出が制作スタッフの描きたい表現とニチアサで放送できるギリギリのラインの折衷案って感じで印象的だ 表現者としての矜持と子供向け番組としての矜持の狭間での苦労が感じられる

(引用元:Xより

ストマック家の回答「生まれてきたことが間違いだった」なので、その対として井上家(ショウマ母の親族)から「生まれてきてくれてありがとう」がお出しされたら泣いてしまうかもしれない #仮面ライダーガヴ

(引用元:Xより

飛行機音と被されたランゴ兄さんのセリフ、傷つく人は本当に傷ついてしまうのでニチアサで放送する上であれ以上の正解はないし、聞こうと耳をすませばセリフのショックがダイレクトに来るマジで良い演出だったな…

(引用元:Xより

36話の感想

視聴者の皆さんの36話 感想(一部)です。

36話放送前に、杉原監督からのポストが!

そして杉原監督ご自身が、36話放送前に、

ランゴから投げかけられた言葉にショウマがアンサーを出します!
※今回は飛行機飛ばないので要注意!

(引用元:杉原監督 X より)

と、おっしゃっていました!
ここが大切なテーマということですね。

「つらかった」という感想にも向き合う

ランゴのセリフは、36話後半の、ショウマのアンサーに繋がっていくセリフであり、希望へと変えていくためのセリフでした。

ではありますが…聞いてつらかった、という方も、いらっしゃいました。

過去にランゴのセリフと同じようなことを言われた方が、古傷が痛んだ…と。

これは、番組やセリフを責めているわけではなく、ランゴのセリフを聞いた時に、自然に感じたことを、ふっとつぶやいたんですよね。つらくって。

つらい時、私たちも誰かに話したりすると、心が整理されて、解決はしなくとも少し、心が軽くなることがありますよね。

そういう方たちへ向けて、その後のショウマのシーンは描かれたのでしたが、
「その言葉」だけでも見聞きするとフラッシュバックして、つらくなってしまう方がいらっしゃる、ということも、胸にとめておこうと思います。

今回の「BPO案件」どう考えるかー

BPOへ送られた意見について、どう考えるかー
結論は、「正しい」答えというものはなく、皆で対話していく、ということなのだと、思っています。

「肯定派」「否定派」といった2つのグループに分かれてしまうことは、対立を生むことでもありますよね。
だからこそ、こういう時、「みんなで」学ぶ良い機会になると思うんです。

どうしてこの方は、苦情を送ったのかな、と考えてみると、もしかしたら、この方も 実際に言われた経験があって、つらくなったのかもしれない、と想像することも出来ます。

あるいは、もしかしたら、お子さんのそばで 家事などをしながら部分的に番組を観ていた親御さんかもしれません。
でも全体の話を見てみたら見方が変わった!と言ってくれるかもしれませんよね。
(自殺に追い込もう、ではなくて、ランゴの「父親を取られたという、兄の悲しみを弟にぶつけた気持ち」だった、等)

実際に話せる間柄だったなら、それぞれの感想を話してみると良いかもしれません。
「他の人の意見を否定しない」哲学対話の方法で…。

見る人の受け止め方、感じ方は人それぞれあり、それを誰も否定することはできません。
それは、今回のガヴの物語でいうならば、ショウマの葛藤はショウマのもので、他の人には背負えないものですよね。
でも、絆斗がやっていたように、ショウマのために出来ることは何かと、考えることは、出来ます。

そういったことも、今回のガヴ35・36話は、私たちに教えてくれたと思います。

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