ジョングクさんのかぶっていた帽子(「MAKE TOKYO GREAT AGAIN」のフレーズ入りのキャップ)が問題になった件について、グクさんは素早く謝罪し、その対応は評価されています。
一方、SNSでは、同じBTSメンバーのナムさんや、あるいはアメリカの俳優さんたちがかぶっていた、いわゆる「MAGAのパロディ帽子」までも取り沙汰され、議論が続いています(2025年6月17日現在)。
ただ、この件が「叩くため」、逆に「庇うため」に取り上げられることも多く、それでは なかなか問題の解決には至らないのではないでしょうか。
本記事では、それを考えていきたいと思います。皆さんの、論点整理のきっかけになれば幸いです。
ジョングクさんのかぶっていた帽子について
ジョングクさんが被っていた帽子は「MAKE TOKYO GREAT AGAIN」というフレーズが入っているキャップでした。
このフレーズは、全く同じ文章を 極右政党がスローガンに掲げていたために問題となり、グクさんはその日のうちに 素早く謝罪し、 帽子を処分されました。
「庇うため」「叩くため」では解決しない
ARMY(BTSファン)だからこそ、グクさんがきちんと謝罪したことを受け止め、評価する方も多かったのですが、
「グクは、悪くないよ」「謝らなくていい」「私は気にしない」といった声が一定数、見られました。
「庇うため」に、「知らなかったのだから悪くない」という論調は、多く使われています。
これは、きちんと謝罪されたジョングクさんの行動を、否定することでもあります。
それから、「庇うため」に「セレブたちも『MAGAパロディ』の帽子をかぶっていた。こういったパロディは風刺なんだから、良いんだよ」という事例を引っ張ってくる意見がありました。
逆に、「叩くため」に、同じような事実を取り上げる論調も見られました。
「RMも『MAGAパロディ』の帽子をかぶっていた。(ナムさんがかぶっていた帽子のフレーズは「MAKE COMEDY GREAT AGAIN」です。)ジミンも『原爆Tシャツ』を着ていた」という風に…。
ただ、少数ですが、パロディハットそのものが、「MAGA」を思い起こさせてしまう、という声も、お見受けしました。
少数意見、それは、ないがしろにしてはいけないですよね。
この声にも、向き合うことは大事です。
ただ「~ため」にする論調というものはどちらも、「MTGA」ハットの問題の本質を見落とします。
そして「叩くため」の論調は、ご本人たちだけではなく、多くの人を傷つける「誹謗中傷」そのものです。
「本質を見る」ことから外れてはいけませんよね。
それが結果的に「本人のため」でもあります。
「歴史的な背景」と「表現の自由」の交錯としてはならない
この帽子について ジョングクさんが購入したものではなく、プレゼントされたと報じられています。
(参考:毎日経済 2025.6.16 )
直接購入はしていませんが、グクさんにプレゼントした方は、日本のファッションブランド「BASICKS」から購入しています。
「BASICKS」は、インスタストーリーで、「MAKE TOKYO GREAT AGAIN」について「政治的な意図は無い」としています。
(出典:「BASICKS」Instagram 2025.6.14) (引用元:「BASICKS」Instagram 2025.6.14)
BASICKSは、このフレーズについて、
「不快な思いをさせてしまった方には、心よりお詫び申し上げます。」
続けて「そうは言っても、私たちはファッションを通してアイデアを表現する自由を信じています。」
「政治的なスタンスを伝えることを意図したものではなく、むしろ東京のファッションシーンの、繁栄への希望を表現する象徴的な方法でした。」
と、英文で表明しました。
世間の論調の中には、
- 「歴史的な背景」と「表現の自由」の交錯だ
- この帽子は BASICKSという有名なファッションブランドがデザインした。ファッションを知らない人たちが騒いでいるのだ
といったものがありました。
この現象に対して、「歴史を学んでいない」という懸念も見かけました。それは、確かにその通りなのですが、
歴史を学んでいてもいなくても、そしてこの「MAGAハット」に限らず、
「傷ついた人たちがいたこと」が透明化されていることが、とても深刻だと思っています。
そして、その「歴史認識」について。
「BASICKS」は「日本の」ブランドです。
本件について謝罪はしたものの「表現の自由である」という趣旨のことを、英文で英語圏の人に向けて発信していました。
②の論調は、普段 K-POPについて情報発信している「日本の」YouTuberさんが、YouTubeで主に日本の視聴者へ向けて発信しているものでした(これは個人的にも、ショックでした)。
前述したように、どんなことであれ、どこの国に住んでいる人であれ、「傷ついた人たち」を透明化してはいけないのですが、今回の件は、「日本の植民地支配の歴史」というものが関わっています。
「日本」の人たちが、今回の件について「表現の自由だから」と言ってしまうのは、植民地支配の歴史を踏まえれば、暴力性をはらんでいるもので、深刻な問題です。
(これは「BASICKS」や、前述のYouTuberさんだけの問題ではありません。)
「指摘・批判」と「誹謗中傷」は全く別のものです。
よく「苦情は宝」といわれるように、それはマズいよ、と指摘するのは、むしろお店や発信者さんのためにもなります。
しかし、お店やYouTuberさんに「誹謗中傷」をするのは、絶対にダメですので、やめましょう。
本件を議論するとき、「歴史的な背景」と「表現の自由」の闘いに、落とし込んでしまうのは、危険だと思います。
論点を「人権」に置くこと
こういった議論をするとき、大切なことは、やはり「人権」の文脈で考えなければならない、ということだと思います。
人権を軸に考えることと、対話していくこと。
(誹謗中傷をしてはならない、というのは、もちろん。)
意見がわかれる人とも、普遍的な課題である「人権」というトピックで考えるのが、良い対話に繋がると思います。
そしてもし、自分の推しが間違えていたら、それを指摘して差し上げることもファンの役割であると、ARMY(BTSファン)である筆者は、思っています。
参考になるメディアご紹介
最後に、解かりやすく解説をされているメディアやブログをご紹介します。
JINさんのチャンネルは、ご存知の方も多いと思いますが、韓国と日本の友好メディアとして、
韓国語やK-POPなど、生活、芸能、から大統領選挙の解説まで、幅広いトピックを扱っているチャンネルです。
今回、同時に「原爆Tシャツ」も話題に上っていましたので、honeysojuさんのブログ記事をご紹介します。
解かりやすく解説してくださっていますので、ぜひ、ご参考になさってください。
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