宮田笙子選手の辞退が「厳しすぎる」理由とは?未成年喫煙に罰則は無い

当ページのリンクには広告が含まれています。
広告

体操の日本代表 宮田笙子さんの五輪出場について、日本体操協会が「パリ五輪出場を辞退する」と発表しました。

これは、五輪の日本選手団初という異例のことで、過去の他のケースと比べても、大変厳しいものとなっています。

今回の処分は、「適切な処分」なのでしょうか、「やり過ぎ」なのでしょうか?

賛否が分かれているとされる問題ですが、検証していきたいと思います。

目次

宮田笙子選手 パリ五輪出場辞退の経緯

まず、経緯について。

宮田さんは、「(20歳未満の)喫煙疑惑」のため、急遽 合宿中のモナコから離脱し、7月18日に緊急帰国します。

担当コーチが同席の上、宮田さんの聞き取りが行われ、喫煙のほか飲酒もあったことが確認されます。

そして、日本体操協会は、7月19日に会見を開き、宮田選手について「パリ五輪出場を辞退する」と発表しました。

あっという間に、処分が決まってしまいました。

宮田さんは19歳。日本では 今は成人は18歳ですが、引き続き煙草は20歳から、となっています。

「20歳未満の喫煙」日本の法律ではどうなっている?

ここからは、宮田さんの五輪出場辞退について、妥当なのか、厳しすぎるのか、について検証していきます。

先ずは、「20歳未満の喫煙」について、日本の法律から見ていきましょう。

「20歳未満の喫煙」法律では、罰則があるの?

宮田選手は、19歳です。20歳未満ですので喫煙は「未成年者喫煙禁止法」の違反ということになります。

では、罰則はあるのでしょうか?

本人への罰則は ありません。

日本の法律では、20歳未満の人が喫煙した場合に、本人への罰則はありません。

この法律は、未成年者を保護することを、目的としています。

「大人が未成年を健全に育成するために、タバコを与えない」。すなわち、大人が売らなければ、大人が吸わせなければ未成年が吸うということはないのです。

(引用元:弁護士法人法律事務所 DUON より)

保護者や、煙草を販売した店が罰せられることは あります

【未成年者喫煙禁止法とは?】

喫煙した未成年者を罰するのではなく、未成年者に「喫煙させた」「喫煙を許した」大人が罰せられます

  • 親権者・監督者が、未成年の喫煙を知りながら制止しなかった場合は「科料」1000円以上1万円未満の罰金。(未成年者喫煙禁止法第3条)
  • 未成年者が吸うことを知りながら、煙草・喫煙器具を販売した場合は、50万円以下の罰金が科せられます。(未成年者喫煙禁止法第5条)
  • 従業員が販売した場合でも、法人や営業者にも、第5条と同じ罰則が適用されます。(未成年者喫煙禁止法第6条)

販売店が、「相手が未成年者だとわからなかった場合」は、罰せられません。
一見するだけでは、未成年者とは判別できず、知らずに販売してしまった場合は罪に問われません。

(参考:ベリーベスト法律事務所 2022.10.27より)

宮田選手の「出場取り消し」は妥当なのか?厳しすぎるのか

ここまで見てくると、日本の法律には、未成年者への「罰則が無い」ということの意味が ちゃんとあることが解ります。

「未成年者喫煙禁止法」への誤解

SNSでは、一部

違法行為なんだから、厳しく罰せよ

という投稿も複数ありました。

しかし、これは先ほどの「未成年者喫煙禁止法」への誤解があると思います。

前述の通り、煙草を吸った本人への罰則はありません。
なぜなら、それは大人の責任だから。

子どもたちを守ることは 大人の責任

煙草は、未成年者のお客も多い コンビニエンスストアでも、販売されています。
お酒もしかりで、コンビニやスーパーなど、未成年者が行く所に売っていて、テレビを付ければビールを美味しそうに飲むコマーシャル。

未成年者を 煙草の害から守りたいなら、最低限、子どもたちの周りで吸わない、子どもたちの行く店には置かないことではないでしょうか。

日本体操協会「行動規範」の目的とは

次に、日本体操協会が定めた「日本代表の行動規範」を見ていきたいと思います。

それによると、代表選手は「20歳以上でも原則的に喫煙は禁止する」「2016年度から数年かけて段階的に全面禁止とする」とされていることを、NHKニュースが報じています。
(参考:NHK NEWS 2024.7.19 より)

2016年4月15日常務理事会にて決定した「日本代表選手・役員の行動規範」の2018年度版ですが、現在は公開されていません。
(参考:公益財団法人日本体操協会公式サイトより)

行動規範の「20歳以上でも原則的に喫煙は禁止する」「2016年度から数年かけて段階的に」という文章から、法律ではOKである20歳以上の選手も、健康に良くないので徐々にやめていこう、という趣旨が見受けられました。

「処罰」より「支援」を

煙草を吸っている方は解ると思いますが、では「煙草を今日、今すぐやめろ。」と言って、やめられる人は限りなく少ないのではないでしょうか。

喫煙による「ニコチン依存症」は「意思が弱い」のでも何でもありません。
煙草には、依存性が生じる物質が含まれているので、長い時間 吸わないでいると不快感を覚え、離脱症状が出てしまうのです。
禁煙にトライしてみた喫煙者の方は、経験がおありかと思います。

日本体操協会の「行動規範」の中にも「数年かけて段階的に」とありました。
すぐに煙草をやめることは無理でも、禁煙外来で治療しながら、徐々にやめていけるよう、周りの大人たちが支援していくべきでしょう。

必要なのは、処罰ではありません。

ここまで見てくると、今回厳しい処分をくだした日本体操協会の「行動規範」というものは、元々「選手の健康のため」であって、見せしめの罰のためではないはずです。

オリンピックの意義とは?

「今回、学生さんへの喫煙への注意とはワケが違う。オリンピックなんだから。」という意見が出ています。

これは、先ほどの、日本体操協会の「行動規範」同様、「何のための」という視点に立ち返って、考えなおしてみる必要があるのではないでしょうか。

そもそもオリンピックの意義とは、「世界平和」です。
スポーツを通して、異文化コミュニケーションからより良い世界の実現を目指すことだったはずです。

そういった目的のオリンピックへの参加は、教育の目的にもかなっています。

宮田さん出場辞退に、世間の声は?

一般市民からも、テレビの出演者からも、議員さんからも、様々な方々から「行き過ぎ」の声が多いです。
「見せしめ」のような措置は、果たしてオリンピックを目指す子どもたちには、どう映るのでしょうか?

「代表辞退にまでなるのは行き過ぎ」(弁護士ドットコムニュース)

弁護士ドットコムニュースでは、一般的には、戒告で終わることが多い」「代表辞退にまでなるのは行き過ぎと、実際に、弁護士が伝えています。

「教育的配慮の点」でも、社会的ペナルティが重すぎる

宮田選手の所属する順天堂大学は、公式サイトで、「皆様方には多大なご心配・ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。」と謝罪しました。

そして、こう記しています。

しかしながら、宮田選手は今回の行為を深く反省しており、これまで日本代表のリーダーとして真剣かつ真摯に練習に取り組み、大会に出場することを強く願っておりました。

また本学としては、当該選手に対する教育的配慮の点から、常習性のない喫煙であれば、本人の真摯な反省を前提に十分な教育指導をした上で、オリンピックに出場することもあり得ると考えておりました。

したがって、この度のオリンピック出場辞退という結果には、本人が負う社会的ペナルティーの重さへの懸念から、誠に残念な思いでおります。
(引用元:順天堂大学公式サイト 2024.7.19 より)

本当に…教育的配慮の点からも、宮田さんの五輪出場取り消しは、重すぎますね。

順天堂大学のコメントは、まさに教育の本質でしょう。

宮田選手の五輪辞退に、SNSの声は?

「未成年者喫煙禁止法」への誤解から、厳しい処分を求める声、また「ニコチン依存症」をご存知なく「(選手の)自覚がない」と批判する声は あったものの、「子どもが一生懸命頑張ってきたことを、大人がはく奪してはいけない」といった意見を多くお見受けしました。

子どもだから喫煙がいけないとすると、注意すればいいのではないでしょうか。子どもなのだから。
出場をはく奪するという罰則は大人に対してすることであり、そこだけ大人扱いをするのは間違っていると思う
子どもの将来をはく奪することは、大人がやることではない。

しかし、そこは五輪なのだから、若者の人生にも影響を与えるわけだし、寛容な措置を取ることこそ、五輪の素晴らしさではなかろうか。

って、(喫煙の)事実がまだ確認されていないのに、思い込みやめた方が良いんだろうな。反省。

私も喫煙者。
最近の若い子で、しかも女性で喫煙者って珍しいですね。
それでもオリンピックに行けるポテンシャルを出せる。

厳重注意でオリンピック中は禁煙しなさい、煙草は20歳から、でいいんじゃない?

19歳、、、若い!
彼女は今まで頑張ってきた!許してあげてほしい。
大きな犯罪をおかしたわけじゃない。
喫煙というものを作り出した、子どもが簡単に煙草を手にできる環境を作り出した大人が罪なわけだよ。
チャンスを与えてあげてほしい。

(※いづれも、Yahoo!ニュースコメント欄より)

まとめ

今回の「出場辞退」について、「妥当」なのか「厳しすぎる」のか、様々な視点から見てきましたが、

  • 未成年者喫煙禁止法は、子どもたちを守るための法律である。子どもへの罰則は無い
  • 未成年者への教育的配慮からも、「厳重注意」が妥当
  • 弁護士からも、「一般的には、戒告で終わることが多い」との見解
  • 「出場辞退」は、社会的ペナルティが重すぎる
  • 「処罰」より「支援」が大切

ということを鑑みると、やはり「厳しすぎる」と言わざるを得ません。

ただ、「妥当」とは違う話しですが、「さらなるバッシングからは守ることができるのではないか」という見方もあります。

「未成年者喫煙禁止法」への誤解から「違法行為なんだから、厳しく罰せよ」というバッシングも散見されました。
Xでは、一部 誹謗中傷の投稿も見られます。
このまま宮田選手が出場した際に さらなる批判が続きかねず、ご本人がダメージを受ける可能性があったのではないか、という別の見方です。

未成年のお子さんをSNSでバッシングするのは、やめてほしいですよね。

日本体操協会の藤田会長は、「厳しすぎる」判断をした一方で、「将来にむけてはしっかりと第一歩を踏み出してもらうために、全力でサポートしていくことを考えています。」とも話しています。(参考:NumberWeb 2024.7.20 より)

これから、しっかりとサポートしていってほしいです!

宮田選手を、心から応援しています。今はゆっくり身体と心を休めてくださいますように…。

広告
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次