Mrs.GREEN APPLEの名前は、なぜ「ミセス」なの?

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人気バンドの「Mrs.GREEN APPLE」。

グループ名に「Mrs.」が付いていますよね。
現在は、既婚者か未婚かを示す「Mrs.」や「Miss.」を使うことはあまりないために

この時代に、なぜ、あえてミセスをバンド名に?

と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

なぜ「Mrs.」がグループ名に使われることになったのかを、お伝えしていきます。

目次

なぜ、グループ名に「Mrs.(ミセス)」を採用したのか?

疑問(イメージ) (出典:Free素材より)
出典:Free素材より

「Mrs.」「Miss.」「Ms.」について

まず、「Mrs.」「Miss.」「Ms.」の敬称について解説します。

ひと昔前は「Mrs.(ミセス)」は「既婚女性」に、「Miss.(ミス)」は「結婚していない女性」に対する呼び方でした。

しかし、結婚しているかしていないかは個人情報であり、現在アメリカのビジネス界では「Mrs.」、「Miss.」は ほとんど使われていません。

20世紀初頭の1901年、配偶者の有無に関係なく使える「Ms.」ができました。

18世紀にさかのぼると、「Mrs.」も「Miss.」も「Ms.」も「Mistress」の派生語でした。
つまり「Mrs.」も「Miss.」も、当時、「配偶者の有無」に関係なく使える敬称だったとされているんですよね。
そんなわけで、多くの人々が 20世紀のフェミニズムの時代に発明されたと思っている「Ms.(ミズ)」、実は、復活しただけである、との論考もあります。

では、なぜ 「Ms.」ではなく、「Mrs.」を選んだのでしょうか?

「Mrs.GREEN APPLE」の名前の由来

まず「Mrs.GREEN APPLE」(ミセス グリーンアップル)の名前の由来について。

先に決まったのは「GREEN APPLE」の部分

メンバーが、ファミレスで集まって会議をしていたところ、「食べ物や動物など、誰もが聞いて分かる名詞が良いのではないか、ということになったそうです。

そこで、当時のベースの方が「GREEN APPLE」を思いつきました。(バンド結成は2013年ですので、2014年に脱退されたベース担当の松尾拓海さんだと思います。)

「GREEN APPLE」の名には「まだ熟していない青りんごのように、初心を忘れないでいたい」という願いが込められています。

最初は「音の響き」で決めた名前で、「初心を忘れずに」は「後書き」とのことでした。(2023年7月30日の日本テレビ系「ニノさん」で、ミセスの大森さんが、バンド名の由来について明かしていました。)

「Mrs.」の部分の由来は?

そして、「GREEN APPLEって凄い爽やかなんで、もうちょっと大人の雰囲気ないかな?」と、皆で知恵を絞ったそうです。

「どこか中性的なイメージ」のあるイメージで、「当時の精一杯のオシャレみたいなものを入れたい」と、「Mrs.」の部分を提案したのは、大森さんだそうです。

大森さんは「ミスチルさんがいらっしゃるので、『Mr.』だけは避けようと思っていました。」と、2017年のインタビューで答えています。
「バンド名は略されてナンボだと思っているので、『ミセス』と呼ばれたい気持ちもありました」とも。

(参考:CREA 2017.8.18ライブUtaTen 2023.11.8modelpress 2023.7.30 より)

「男」「女」関係なく表す敬称について

「中性的」のイメージだと、女性の敬称「Mrs.」でななく「Mx.」の方が合っていそうだけど…

Mx.」(または「Mx」)は、相手の性別を特定しない敬称です。(発音は、ミクス/マクス/エムエックス)

1970年の後半に、Mr.やMs.のような「性別」によらない敬称として開発されたものです。

2015年には、「Mx」はオックスフォード英語辞典に、2016年にもウェブスター辞典(アメリカ英語辞典)に掲載されています。

なぜ「Mx.」ではなく「Mrs.」に?

なぜ「Mx.」より「Mrs.」にしたのか、についての記述は見当たらず、ここからは筆者の推測となりますことをお許しくださいませ <(_ _)>

もしかしたら「Mx.」について、日本の学校では習わなかったため、選択肢になかったかもしれません。

2024年に配布された日本の英語教科書(光村図書)でも、「Mx.」敬称は見当たりませんでした。

そして、やはり教科書には、当然のことながら「Mrs.」も「Miss.」も載っていません。「Ms.」「Mr.」のみです。

「中性的」の表現として、「男性」への敬称と「女性」への敬称をミックスしたのかもしれません。
「Mr.」+「Ms.」=「Mrs.」というふうに洒落てみた、つまり造語だったのかもしれません。

大森さん、「『Mr.(ミスター)』だけは避けようと」とも仰っていましたよね。

あるいは「Mrs.(ミセス)」という表現はご存じで、「当時の精一杯のオシャレみたいなもの」として、あえて「昔の言葉」を採用したのかもしれません。

ミスチルさんとかぶらないように…ということでは、単純に考えると「Ms.(ミズ)」が思いつきますが、あえて昔の表現にしてみたか、あるいは「Mrs.」の方が音の響きが良かったのかもしれません。

ちなみに、Mr.Childrenさんの名前の由来は、メンバーの好きなものに「Children」という単語が多く付けられていたことだそうで、
「Mr.」を付けたことについて、桜井さんは、大人から子どもまで幅広い人たちに聴いてほしいという意味が込められている、と話しています。

「Mr.」や「Ms.」でなく、ファーストネームで呼ぶことが多い

「Mrs.GREEN APPLE」のバンド名の話題からは離れますが…

今は、人を呼ぶときの「Ms.」や「Mr.」も、あまり使われません。

ジェンダーに関して 価値観がアップデートされているため、ビジネスシーンでも、ファーストネームで呼び合うことが多いです。

特に、「Mrs.(ミセス)」は「既婚」というプライベートなことを表す言葉ですので、使わない方が良いでしょう。

ジェンダーに関する言葉のアップデートは、他にもあります。「He」「She」以外に、ノンバイナリーを表す単数形の「They」があります。
「They」は昔からの複数形の意味もありますが、「He」でも「She」でもない、または「自分は男の時もあるし、女の時もある」という人(ノンバイナリー)の人たちの三人称として使われています。

「boyfriend」や「girlfriend」ではなく、「steady」に代わってきたりしています。

日本では、いまだに性別を書く欄が「男」と「女」の2種類しかない所も多く、遅れていますね。「答えない」は最低限、必要ですよね。

さて、Mrs.GREEN APPLEさんの名称に話を戻します。

今までも、度々、「なぜ『Mrs.』なの?」という話題は出てきていましたが、

Mrs.GREEN APPLE、昔の敬称が使われているとはいえ、もうこれは「バンド名」として定着していますね。

バンド名は、メンバーが高校生の時に、精一杯 考えた名前です

2013年に結成されてから、もう11年。「ミセス」はMrs.GREEN APPLEの愛称となっています。

前述したように、18世紀には「Mrs.」も「Miss.」も「Ms.」も「Mistress」の派生語でしたし、言葉は変化していきます。

Mrs.GREEN APPLEのMrs.は「既婚女性」を表すのではなく、人気バンド「ミセス」だけのMrs.。そんな風に思います。

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