日本テレビ「news zero」でキャスターを務める櫻井翔さんが、今月5日、同番組内で、ジャニーズ事務所の性加害問題について言及しました。
櫻井キャスターは、「この件について、自分の言葉でお伝えできればと思います。」と切り出しました。
被害者の尊厳回復の為に、何が出来るのか。
性加害が起きない社会を作るには、どうすれば良いのか。
その方法を、考えたいと思います。
櫻井キャスターのことば
この日、元ジャニーズJr.の方々が、児童虐待防止法改正を求める約 39,000人分の署名を、与野党格党へ提出しました。同番組がそのニュースを伝え、それを受けての形で言及しました。
櫻井さんは、問題の事務所に所属する立場とキャスターという立場、両方と向き合い、自分の言葉でコメントしました。涙に声をつまらせる場面もありました。
櫻井キャスターの言葉です。
今回の件ですが、私には2つの側面があると考えています。
日本テレビ news zero 2023.6.5 より 櫻井キャスターの言葉
1つは、今、問題の責任が問われている事務所に所属しているということ。
そしてもう1つは大きな意味では自分は被害者側に見られうる立場に置かれているということです。
私にとって、この2つの側面を踏まえますと、コメントをすることは難しいと、考えていました。
今もまだどの立場で、どうお話しできるのか難しいのですが、お伝えしたいことの1つは、憶測で傷つく人たちがいるということです。
かつて、同じジャニーズジュニアとして時間を共にしてきた、大切な仲間の中には、すでにこの世界とは全く違う所で新しい人生を歩んでいる人たちがたくさんいます。
そういう人たちも含めて、あらぬ憶測を呼び、今回の問題の対象となってしまうことは、何よりも避けなくてはいけない。避けたいと。
そこを考える中で、私自身、発言すること自体がまた憶測を呼び、広げ、無関係な人々まで傷つけることにつながるのではないかということを、恐れています。
ただです、だからこそ、ジャニーズ事務所は話したくない人の口を無理やり開かせることなく、しっかりとプライバシーを保護したうえで、どのようなことが起こっていたのかを調査して欲しい。
そして、被害を訴える方々、並びに本日提出された署名をした皆さんの思いを重く受け止め、二度とこのような不祥事が起こらない体制を整えなければならないと思います。
最後に、あらゆる性加害は、絶対に許してはならないし、絶対に起こしてはならないと、考えています。
この問題を考えるうえで、大切なキーワードがいくつもありました。
次に、世間の声を見ていきたいと思います。
SNSでの反応から。
この問題について櫻井さんが言及したことに、世間の大きな反応が見られました。
〝全方面に気を配って言えなかったの苦しかっただろうな… 勿論、被害者がいる以上、事務所は放置していい問題ではないけど。 真実が分からない中でプライバシーを守られるべき立場、自身や仲間が傷付ついているかもしれない人達を矢面に引っ張り出すようなことを言っていた方々は、これで満足なのかな
Twitterより
何を言っても、逆に何も言わなくても。世の中には人を傷付ける酷い言葉しか吐かない人達もいるけど。 ずっと大切にしている“言葉”で、自分の気持ちを自分の言葉で届けてくれる翔くんの想いは、届く人にはきちんと届いてる。 そんな強い翔くんだからこそ、尊敬して付いていく人が沢山いるんだと思うよ。″
〝何も言わないことを選んでも、どんなに言葉を選んで自分で言葉を紡いで話しても、叩きたい人は叩いてくる。 そういうことも総合的に勘案して、言葉に詰まりながらも、誤解よりも守りたい人たちを守るために話す、という選択をした櫻井翔くんの意思を尊重して欲しい。″
〝「憶測」を避け「関係者を傷つけない」ためにこそ、独立性が担保された第三者委員会による調査を行い、事実を明らかにする必要がある。 ジャニーズ事務所の主導による「調査」は、アリバイ作りの儀式にしかならない。 櫻井翔氏の言う「調査」がどちらを指しているかは曖昧だが、両者は大きく違う。″
ひろゆきさんも、この件についてツイートしています。
それに対しての反応も見られます。
他にも、以下のようなリプライが見られます。
〝櫻井翔としてコメントしてるんだからこれでいいと思う″
Twitterより
〝事件があった以上、被害者の方を守るためにこそ、被害者の個人情報を守秘する第三者機関が調査したほうが良いです。″
〝櫻井はテレビを通じて「ジャニーズ事務所は、どのような事が起こっていたのか調査して欲しい」と会社に訴えてるのかと。 櫻井だからこそ意味があると思う。 単に尻馬に乗ってるメディアや著名人とも立ち位置は違うのでは?″
〝櫻井翔氏のノーコメントで否定的な意見をよく見かけるけど、彼もこの組織で頑張らなくてはならなかった被害者かなと私は思っているので、あまり一方的な否定はどうかと思ってます。 仮に性被害を受けていた場合セカンドレ○プに当たるのではないだろうか。″
〝櫻井翔かわいそすぎる。普段ニュース番組やってるからってなんでも触れなあかんのかよ。別に話したくない内容なら話さんでいいやん。経営陣でもないただの1メンバーやのに。会社のデカい不祥事について、社員1人によってたかって説明求めるんと同じやん。″
〝キャスターである桜井翔氏がニュース番組として公平さを保つために黙るのは正しいことだと思うが?(そのことについて語り始めたら自分がジャニーズ事務所に所属している以上何かしらの偏りが出るだろうし)別に警察に任せれば良いでしょ。″
〝被害者かもしれない人を攻撃する風潮をひろゆきさんにはしてほしくないでごわす。他人事として扱ってる印象が強い場合も、トラウマから自分を引き離す必要があるための行為かもしれない。″
この問題について、世間の関心が高いことが、肌感覚で伝わってきました。
人に対して誹謗中傷するようなコメントは、ここに載せていませんが、
真剣に考える人はたくさんいてくださり、ここに、先に進むための希望が見出せると感じます。
被害者の心の救済と、再発防止のために
では、被害に遭われた方々の心の救済、そして再発防止のために、会社・社会は、何が出来るのか。
1つは、櫻井さんの言葉にもあるように、しっかりとプライバシーを守りながら、被害者の方々の尊厳回復が、何よりも優先されることです。
とりわけ「性被害」というものは、被害者は何も悪くないのに、自分を責めてしまう方が多いです。
恥ずかしいという思いを被害者に負わせてしまい、被害者は、(ジャニーズ事務所に限らず)一生その被害を口に出さないケースが多い問題です。
櫻井さんの言葉にもありましたが
性被害は、もう、事件そのものを思い出したくない人もいます。一生誰にも言いたくない人もいます。
そして、同じ被害者であっても、今の家族との生活を守るため、闘うことを選択しない人もいます。
一方、カウアンさんをはじめ、被害者の方々が、性暴力を無くすため問題提起し、「これからの子どもたちに、この様なつらい思いをしてほしくない」と活動している方々がいます。
どちらの生き方も尊重されるべきものです。
被害のことを言わない権利、闘わないことを選ぶ権利が、あります。
「性被害」に限らず、あらゆる事件や社会問題で、「被害者が矢面に立たされる」ことや、「闘わず、静かに暮らす」人々を責める、という問題が起きています。
被害者の相談窓口と、セラピー
被害者の方が希望する場合、相談窓口や心理セラピーを、利用できるようにする。
安心して利用できるよう、大前提として、プライバシーをしっかりと守るシステムを作ること。
加害者への更生プログラム
ジャニーズ事務所で起きた事件の加害者は他界し、加害者が罪を償う機会を失ったともいえるでしょう。
二度と起こさないために。
加害者に対する更生プログラムもまた、重要です。
事件に対する調査は、第三者委員会を置くこと
性被害問題に詳しい弁護士を含めて、第三者による調査検証委員会の設置が必須です。
言うまでもなく、言いたくない人へのインタビューは、しないこと。
内部と外部の通報窓口
パワハラ・セクハラがあった場合等に、社内に相談出来るコンプライアンス部門を置くと共に、
社外相談窓口も、置くこと。
社内・社外ともに、しっかりと人権を守ってくれる部門であること。
もちろん、この相談窓口は、プライバシーを守ることが大前提です。
ハラスメント研修・人権教育
こういった企業研修を行っている教育機関に依頼し、定期的に人権教育と研修を行うこと。
一度だけの受講ではなく、繰り返し定期的に受講することで、効果が上がります。
全員が受講出来るようにすることが大切です。
性被害・性加害が起きない社会を作る
この問題は、ジャニーズ事務所に限ったことではありません。
ジャニーズで起きた事件も、パワハラ、「権力」というものが、問題の根底にありました。
パワハラは、多くの企業、学校などでも見られ、これらの問題は深刻です。
性暴力もしかりで、本当に多くの人が被害に遭っています。しかし性暴力は、被害者が自分を責めたり、恥ずかしいという心の傷から、多くの人が被害に遭ったことを語ることが出来ません。
性教育の大切さ
櫻井翔さんのことばを、今一度、引用します。
「あらゆる性加害は、絶対に許してはならないし、絶対に起こしてはならない」
「加害者」を生み出さないために。「被害者」にならないために。
そのためには、性教育を、しっかりと幼児期から学ぶ。
性に関することを「タブー」としないで、フレキシブルに話せる環境を作ること。
だと思います。
日本では、長い間、保健で、身体の変化や受精などを学ぶのが「性教育」というイメージがありましたが、
性教育の根本的なところは、「人権教育」です。
日本は、教育先進諸外国に比べて、性教育が遅れている国ですが、
日本でも、徐々に変わってきているのも、感じます。
「性暴力」の被害者にも加害者にもならない、そういう視点からの教育を入れていく、とし、
それは中学校の「保健体育」の教科書にも見られます。(が、大切な項目なのに、少ない、という印象です(> <))
個々の先生や学校、フリースクール等が工夫して、性教育の講師を招いて、みんなで考える学習を行う取り組みも、見られます。
ジャニーズ事務所だけの問題ではない。
「性加害」「パワハラ」。これは、日本社会全体の問題ですよね。
ようやくこの問題に、注目が集まる今、私たちは1市民として、風化させることなく、
大人として、どう子どもたちを守っていくかを、考え続ける、身近な人と話し合う、パブコメ送る、
これらが、子どもたちを守っていくことに繋がっていくと思っています。
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