日本の一部BTSファンは、なぜ「国防日報」に広告を出したのか?「日本」のファンからは苦言と「歴史を学ぼう」の声

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BTSジンさんの一部の日本のファンが、韓国の10月27日付けの「国防日報」1面に、現在 兵役服務中のジンさんと大韓民国国軍を応援する趣旨の広告を掲載しました。

これに対し、「日本の」ファンからは、南北コリア分断の歴史を考えると「日本人」が広告を載せるというのはどうなのか…と困惑の声、苦言を呈する声がSNSで上がっています。

なぜ「国防日報」に掲載することになったのか、経緯と、現時点での日本のファンの声や議論をお伝えします。

目次

「国防日報」への広告掲載内容と 掲載の経緯

「国防日報」とは

韓国の「国防日報」は、国防部傘下の国防広報院が発刊する日刊紙です。

主に国軍将兵が購読しています。

「国防日報」に一部のイルアミ(日本のファン)が掲載した広告の内容

10月27日付けの「国防日報」広告の内容は、以下の通りです。

1面の下段の3分の1を使って大きく、ジンさんの写真と共に、

・韓国語で「한반도의 평화와 안정에 기여하고 있는 대한민국 국군 장병 여러분의 헌신에 존경과 감사를 표합니다.(韓半島の平和と安定に貢献している大韓民国国軍の皆さんの献身に尊敬と感謝を表します。)」のメッセージ

・その下に英文で「The Astronaut 1st Anniversary」

・その下に大きな「JIN」の文字の右側に、韓国語で「일본 아미는 진의 기념일을 계속 함께 축하합니다.(日本のアミは、ジンさんの記念日を引き続き共にお祝いします。)」のメッセージが掲載されています。

ニュースでは、「(入隊)記念日を」と報じているメディアがありますが、これはおそらく、その上に書かれていた「The Astronaut 1st Anniversary」の文の通り、『The Astronaut』の記念日を、という意味だったのだと思われます。決して、悪気もなく、応援メッセージを届けたい一心だったことも、伝わってきます。

しかし、‶日本人″であるイルアミ(日本のBTSファン)が「国防日報」に、この文章を掲載してしまったことに、他ならぬ‶イルアミ″がショックを受け、波紋が広がっています。

この広告のすぐ上、一面の上段には、大きく「軍作戦遂行能力・軍事対備体勢確認」という見出しの、韓国の軍事に関する記事が掲載されています。

なぜ、イルアミが、韓国の「国防日報」に掲載したのか?

日本の一部ファンが、なぜ韓国の国防広報院の日刊紙である「国防日報」に、広告を掲載するに至ったのでしょう?

今年(2023年)6月、BTS10周年に合わせて、韓国のBTSファンが、6月13日付けの「国防日報」に、ジンのデビュー10周年を祝う広告を掲載しており、そして、これが「国防日報」史上初の芸能人サポート広告として話題となりました。

韓国のファンが掲載した広告のメッセージは「韓国の誇らしい国軍兵士の皆様の献身と労苦に感謝します。将兵の皆様を応援します」という内容でした。(参考:Kstyle 2023.10.27 より)

おそらく、今回の発起人のかたが、6月の このニュースを知り、これを真似て、「日本のアミ(BTSファン)からも」掲載しようと思い立ったのではないか、と推察されます。

発起人のかたが、SNSで「ジンさんに届けたいという想いを、軍と国防日報が理解を示してくれて、国防日報の審査に通過した」こと、「韓国のサポートチームが協力してくれた」ことを報告されていました(9月下旬頃です)。

韓国のファンが掲載した広告は、今回、日本のファンが掲載した広告と、構図が良く似ていました。(6月13日付けの「国防日報」では、ジンさんの写真が右側、上記のメッセージの下に「Happy 10th Anniversary」の文、大きく「JIN」の文字でした。)これにならって、今回の広告の内容になったのだと思われます。

前述しましたが、ただただ応援メッセージを届けたい、という思いからということが分かりますし、前例もあった(同じく「ジンさんへの」メッセージ)、そして韓国人の方々のサポートがあった、という流れの中で、進んだ経緯があると、分かりました。

日本のファンからの意見

この広告に対し、「日本のファン」から、多くの声が上がっています。

Twitter(X)より
Twitter(X)より

6月に 韓国ファンが広告を掲載した時と違うのは、今回、広告を出した人のアイデンティティが「日本人」ということです。

この世代に、「植民地支配の戦争責任」が、直接あるわけではありません。しかしながら、私たちが「日本人」であること、「日本人である私」が「無邪気に」、韓国の国防広報院の日刊紙で「韓半島の平和と安定」「大韓民国国軍の皆さんの献身」という言葉を発することは、これを見た韓国の人を傷付けてしまう可能性があることを、考えなければなりません。

広告を見て、「ありがとう」と思うかたや、「あなたたちは、まだ生まれていなかったのだから」というかたも、いらっしゃるかもしれません。それでも、歴史を学んだうえで、この言葉の持つ意味を理解することは必要だと思います。

そして「兵役が無い国」の私たちは、兵役の苦悩を、理解することは出来ません。「兵役が無い国」の人が、良く知らずに「応援」してしまうことの怖さに気付くことが大切です。

筆者は、若い頃、韓国人男性の親友から(兵役について)「本当に、過酷でした…」と聞いたことがあります。本当につらいことに関しては、誰もそこに触れたりは出来ませんし、触れないでいることが大切だと思っています。

心優しい人々が、「戦争」の「訓練」をしなければならないというつらい現実、大切な家族や仲間と離ればなれになる、キャリアが中断される、そんな苦悩を、兵役の無い国の人々は、体感することは出来ません。

それでも、想像したり、理解しようとすること、学ぶことは出来ると思います。
‶渡韓できるときがあるなら「植民地歴史博物館」「戦争と女性の人権博物館」など、私たちイルアミが行ったら良い場所がいくつかあります″と、紹介するファンの声もありました。

また、先ずは南北コリアの市民の思いを知ることだと警鐘を鳴らす声も多く見受けられます。

https://twitter.com/ppl_purpl/status/1719144461996114060
Twitter(X)より

また、こんな声も、お見受けしました。

Twitter(X)より

市民同士が繋がること、一緒に平和を考えること、それが大切である、ということですね。色んな人々と色んな対話をしていくことが、大切だと思っています。

(筆者も昔、アジアの国々の友人たちと、日本統治時代の話も含め、様々な話をし、そのうえで、「私たちのこれからの未来」について語り合ったことがあります。)

今回のことから考える

本を読む人「did you know?」(出典:Free素材 pexels rahul shahより)
(出典:Free素材 pexels rahul shah)

今回のことで、他ならぬ「日本のファン」から「学ぼう!」の声が上がり、「孫の世代の戦争責任」を考える機会に、そして対話が増える機会にもなっていると感じています。

そして「孫の世代になってもなお、過酷な兵役に就かねばならない」若い人たちがいること。つらい現実について、引き続き、考え続けたいと思います。

南北の分断状態について、日本で一緒に子育てしてきた韓国人の親友は「南北コリアは統一したい。東西ドイツのように格差の問題など、色々大変でも、それでも一緒になって頑張っていくのが良いと思う」と話します。

私たちが、色々な国や地域の人々と繋がって、学びながら一緒に考えていく、今回そのきっかけを与えてくれたのは、BTSのファンの皆さんでした。

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