電動キックボードの飲酒・酒気帯び運転、日本と韓国の罰則は?罰則だけではなく支援が必要なワケについても

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電動キックボードでの「飲酒・酒気帯び運転」について。

韓国での、BTSのユンギさんが「免許取消し」となったというニュースを受けて

(韓国の)「免許取消し」は、厳しすぎるのでは…

という声もありました。

逆に、日本では「えっ!キックボードに免許が必要なの?」と思われたかたも少なくないようです。

電動キックボードの道路交通法、日本と韓国ではどうなっているのか、見ていきたいと思います。

目次

日本での「電動キックボード」に関する法律は?

日本では、現在、「特定小型原動機付自転車」に該当する電動キックボードは16歳以上であれば「免許不要」です。(2024年8月現在)

2023年7月の「法改正」により、16歳以上であれば「無免許」で乗れるようになりました。

ヘルメットの着用は、義務付けられず、あくまで「努力義務」にとどまっています。

(ただし、定格出力が0.60kwを超えるものは、「普通自動二輪車等」にあたり、免許が必要です。

特定小型原動機付自転車とは?

「特定小型原動機付自転車」は2023年7月から新しく出来た車両区分です。

【特定小型原動機付自転車とは】
最高速度: 20km/h 以下
定格出力: 0.6kw 以下
車体の長さ:1.9m 以下
車体の幅: 60cm以下
速度:20キロメートル毎時を超える速度を出すことができない/走行中に最高速度の設定を変更することができない
AT機構がとられている
(道路運送車両の保安基準第66条の17に規定する)最高速度表示灯が備えられている

「特定小型原動機付自転車」で飲酒運転をしたらどうなるの?

「特定小型原動機付自転車」の電動キックボードであっても、もちろん飲酒運転はしてはいけません。

日本の法律では、どうなっているの?

先ず、「特定小型原動機付自転車」は現在「無免許」で乗れるため、「免許停止」「免許取消し」は、元々ありません。(2024年8月現在)

しかし、これの飲酒運転に関しては、罰則規定があります。

「特定小型原動機付自転車」の飲酒運転の罰則は、
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金等です。
(参考:警視庁

また、
・お酒を飲んでいることを知っているのに「特定小型原動機付自転車」を提供する。
・「特定小型原動機付自転車」でお店に来ていることを知っていて、酒類を提供する。
・「特定小型原動機付自転車」でお店に来ていることを知っているにもかかわらず、その人に飲酒をすすめる。
こともNGです。
それらの行為にも、罰則が科されます。
(参考:警視庁

つまり、「特定小型原動機付自転車」区分の電動キックボードでも、免許に関すること以外は、「車両」と同じように罰則はあります。

韓国の方が厳しいの?

「電動キックボード飲酒運転で、免許取り消し」のニュースで、「えっ、厳しすぎる」という声も上がっていました。

しかし、韓国でも、日本のように「飲酒測定基準値」があります。

「いきなり免許取り消し」ではなく、「免許取り消し水準の血中アルコール濃度が出たら」免許取り消し、ということです。

전동킥보드는 도로교통법상 ‘개인형 이동장치’로 분류돼 도로교통법을 적용 받는다. 전동킥보드 음주운전의 경우도 일반 자동차 음주운전과 동일한 행정처분이 적용돼 혈중알콜농도 0.08%이상인 경우에는 면허취소가 이뤄진다.
(参考:스타투데이 2024.8.7 より)

【和訳】電動キックボードは道路交通法上「個人型移動装置」に分類され、道路交通法が適用される。
電動キックボード飲酒運転の場合も一般自動車飲酒運転と同じ行政処分が適用され、血中アルコール濃度が0.08%以上の場合には免許取消が行われる。

韓国では、電動キックボードについて、道路交通法が適用され、血中アルコール濃度が0.08%以上で、免許取消が行われています。

日本では、「特定小型原動機付自転車」区分の電動キックボードについては、無免許で運転できるため、行政処分はありません。

それ以外の車両については、このように決まっています。

【日本の飲酒・酒気帯び運転の行政処分について】
呼気中アルコール濃度が 0.15mg/L 以上0.25mg/L未満→行政処分(免許停止:90日間)

呼気中アルコール濃度が 0.25mg/L以上→行政処分(免許取消し:欠格期間2年間)

「欠格期間」とは、免許を再取得することができない「交付停止処分期間」です。

まとめ (ことの本質は、安全の施策を社会が考え、周知していくこと。)

飲酒運転に関しては、やはり韓国でも日本でも厳しい罰則があります。

それだけ危険だということで、それはキックボードでも、それから自転車であっても同じです。

0.15mg未満だったらOKということでは決してなく、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」ですね。

韓国も日本も、アルコール濃度によって、免停、免許取り消しなどの行政処分がありますが、問題なのは日本の「特定小型原動機付自転車」区分の電動キックボードは「無免許で乗れてしまう」ということ。

これは日本でも大いに議論がされ、問題視されてきましたが、今一度、「特定小型原動機付自転車」に関する免許制度について、安全面から議論されるべきだと思います。

安全が何よりも大事ですよね。

今回は、ユンギさんにケガがなくて、また、何より他の人を巻き込むという事故が起きなくて、本当に、本当に、良かったです。

ユンギさんの件や、SNSの声で解ったことは、「電動キックボード」の安全管理について、韓国でも日本でも、周知がまだまだ足りていない、ということですよね。

韓国のメディアTopictreeは、このように伝えています。

이번 사건을 통해 팬들과 대중은 다시 한 번 음주 후 전동 킥보드 이용의 위험성을 인식하게 되었다. 슈가의 반성과 더불어 음주 운전에 대한 경각심이 높아지기를 기대해 본다.
(参考:Topictree 2024.8.7

【和訳】「今回の事件を通じて、ファンや一般人は改めて飲酒後の電動キックボード利用の危険性を認識することになった。シュガの反省とともに、飲酒運転に対する警戒心が高まることを期待したい。」

これは、ユンギさんに限らず、電動キックボードを利用する全ての人々の安全を守るために、社会が考え、周知していくことだと改めて思います。

【8月8日 追記】人が座ることができるサドルが追加されたモデルは、罰則が違う(韓国例)

ユンギさんが乗った機器は、人が座ることができるサドルが追加されたモデルであることが確認されました。
一部のメディアでは「전동 스쿠터/電動スクーター」と報じられていますが、正確には 電動キックボードでサドル付のタイプです。

※表現については、「전동 스쿠터」で検索しますと、「電動キックボードのサドル付タイプ」も、「スクーター」も、両方の画像が出てきます。これは、「一般的に、定義があいまいで判りにくい」ということを表しています。

電動キックボードでも、サドルのあるタイプと無いタイプでは、罰則に差があります
しかし、日本同様、韓国でも、「電動キックボードは自転車扱いなのか、車両扱いなのか」については、「市民が混乱する状況だ」という背景があります。

韓国の道路交通法で、電動キックボードの通行に関しては「自転車など」に分類し、自転車のように通行するようにしている一方、事故の場合には「電動キックボードの飲酒運転で発生した事故も特価法上加重処罰対象(自動車等と同様の適用)に該当する」という最高裁判決が出ているといいます。(参考:교통신문 2023.8.22 より)
※そして、今回のケースでは、自他への事故は起きていません。

あらためて、本当に、大きな事故にならなくて、良かったです。

そして、ユンギさんが転倒した場所に警察官が駆けつけてくれたことは、本当に幸運だったと思っています。
その理由は、「ユンギさんが」というよりも、そこに「ひとりの若い人」を見つけて助けてくれたこと(ケガや脱水症状が心配される)、
検挙により、「未来に起きるかもしれない事故」から、本人や周りを救ったことです。

日本では「サドル付き」モデルが「特定小型原動機付自転車」区分の物であれば「免許不要」

同じように、日本の「特定小型原動機付自転車」区分の電動キックボードにも「サドル付き」タイプはあります。
付け外しのできるサドルも、販売されています。(参考:Yahoo!ショッピング より)
この区分に当てはまれば、日本では いづれも「免許不要」で「公道の走行可能」です。(2024年8月現在)

いづれも飲酒運転への罰則はありますが、日本の「免許不要」については、再考の必要性があるのではないでしょうか。

「飲酒・酒気帯び運転」を撲滅するには、罰則だけではなく「支援」が必要

社会から「飲酒・酒気帯び運転」をなくすためには、罰則だけではなく、支援が必要です。

それは「アルコール依存症」と関係することも少なくないからです。

「隠れアルコール依存症」は、誰しもがなる可能性が高いものです。
毎晩の晩酌をする人は特に、気づかないうちに「隠れアルコール依存症」になってしまっていることも多いと、医師が警鐘を鳴らしています。

また、アルコール検知器を取り扱う会社でも、アルコール依存症と飲酒運転は密接に関わっているとして「適切な治療を」と呼び掛けています。

※ユンギさんが「アルコール依存症」というわけではありません。社会から 飲酒運転を無くすためには支援が必要という観点でお伝えしております。

今回のケースを受けて、社会がすべきことは、ひとりの若者を過剰にバッシングしたり、事実はまだ発表されていないにも関わらず、憶測で報道したりすることではないはずです。
ことの本質は、安全の施策を社会が考え、周知していくこと。これにつきるのでないでしょうか。

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