『Running Wild』MV 隕石落ちるシーンの考察「観るのがつらい」の声も

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ジンさんのソロアルバム『HAPPY』のタイトル曲『Running Wild』。
とても前向きになれる曲で、MVは、Long Beachの街並みと自然の風景が素敵なMVです。

ですが、MVを途中まで ワクワクしながら見ていたけれど、隕石が降り注ぎ、地球に激突して爆発するシーンを見るのがつらい、そういった声が上がっていました。

『Running Wild』はMVも歌も素敵なだけに、このシーンを入れる必要があったのか、もやもやする方は多いと思います。
本記事では、このシーンについて、考察していきたいと思います。

目次

『Running Wild』MVの隕石が落ちるシーンについて

見るのがつらいと感じるシーンは、どこ?

『Running Wild』MVの中で、「見るのがつらい」と感じた方が多かったシーンは、次の2つです。

つらいと感じる方が見なくて良いように、画像はアコーディオンで隠しています。(※クリックすると見れます。)

地球に隕石が降りそそぐシーン

画像は、クリックすると見られます。
山あいを走るジンくんの車と、降りそそぐ隕石 (出典:HYBE LABELS)
(出典:HYBE LABELS
隕石が降りそそぐ中、気にせず車を走らせるジンくん(出典:HYBE LABELS)
(出典:HYBE LABELS

大きい隕石が地球に激突して、爆発するシーン

画像は、クリックすると見られます。
隕石が地球に落ちて爆発するシーン (出典:HYBE LABELS)
(出典:HYBE LABELS

「MVを観るのがつらい」という感想

ラストシーンは、「映画だった」というオチになったとしても、やはり隕石が落ちて爆発するシーン、きのこ雲のシーンについて、ショックを受けるアミが少なくありませんでした。

それでは、どんな感想があったのか、見てみましょう。

MVを観るのがつらい。
ここ1年、ガザで起きていることをリアルタイムに映像で観てしまっているので、爆発シーンは、どうしても「イスラエルのガザへの空爆」を、どうしても想起させる…。

なぜ、いまこのシーンを入れたのかな

きのこ雲は、原爆を想像するので、つらい。

現実に戦争が起きている今、地球滅亡させる設定は必要なの? 

東日本大震災の時、津波の映像を流さないなどの配慮があったので、そのような配慮がなされると良いのに

そういった声を、多くお見受けしました

なぜ、観るのが「つらい」と感じたのか

昨年から今年(2023年~2024年)にかけて、パレスチナ・ガザの状況、実際にいま起きていることを、現地からSNSで発信してくれる人々がいました。
日本では、テレビでの報道が極めて少ないのが現状ですが、私たちは、発信してくれる人々のX(旧Twitter)の情報で、現地の状況を知ることができました。

イスラエル軍のガザ攻撃はジェノサイドであり、Xでこの状況を見ることは、多くの人にとってショッキングだったと思います。

それが起きている「2024年」にリリースされた『Running Wild』のMVの中で、「隕石が降りそそぐシーン」「地球に激突するシーン」を見て 爆撃、戦争を連想する人が多くいたのは当然のことだったのではないでしょうか。

『Running Wild』MVで、制作陣が表現しようとしたことは?

「Runninng Wild」という言葉には、誰にも支配されずに「思いのままに生きよう」という意味がありますよね。

『Running Wild』のMVの中でも、表現しようとしていたのは、逆境の中でも「希望」「幸せ」「思いのままに生きよう」というメッセージ。

ARMYをはじめ「人類」に向けた応援の言葉であり、BTSの他のメンバーに向けてのメッセージにも思えます。

MVメイキング映像の中でジンくんは
「人々が驚いても、僕は無視してただ今回はずっと幸せなんだ」
「人のことは気にせずに、自分の道を行く」
「僕はこの子と一緒だから幸せだ、みたいな感じにしたいんだ」と語っています。

MVメイキング映像
ジンくん「僕はただ自分の道を進んでいくという感じで(作りたい)」と説明
(出典:BANGTANTV)
MVメイキング映像(出典:BANGTANTV

「サイレンが鳴って 人々がパニックになる光景」や「隕石」は、「慌てて道を間違えたり、大衆に流される」や「逆境」の比喩。
「逆境がやってきても、僕らは流されないで、幸せに生きるんだ」「自分の軸を持って、自由に生きよう」という、希望、幸福といったテーマが込められています。

「隕石」は、困難・逆境の比喩表現

「隕石」は、SF要素のあるミュージックビデオで、比喩として使われています。

地球滅亡のような極端な状況下で、ジンくんとワンちゃんが幸せな時間を過ごす姿を描くことで、視覚的対比をつくり出し、日常の小さな幸せを大切にするメッセージを、MVは伝えています。

「隕石」は、「困難・逆境」などの比喩表現で、
「逆境はたくさん降りかかるけれど、僕たちはハッピーに生きようぜ」という風に。

ジンくんは、無敵のヒーロー or 宇宙人にも見える

ジンくんの役は「宇宙人」で、『The Astronaut』の続編が『Running Wild』ではないか、という考察もあります。

隕石による爆発でもビクともしない宇宙人かもしれませんね。

筆者は特撮ファンでもありまして、劇中の、隕石が落っこちてきても平気なジンくんは「無敵ヒーローキャラ」にも見えます。

仮面ライダーガッチャードは、劇中で、地球の危機に「もうひとつの地球」を錬金術で錬成してしまうのですが、
そんな風に、隕石が降っても地球に激突しても、あの直後ヒーロー・ジンが地球を錬成し、人類の危機を救ったのかもしれない、と。(実際にはMVは「映画オチ」ですので、筆者の想像世界です。)

『Running Wild』メイキング映像は、こちらです。

「敢えて入れたのではないか」という考察も

パレスチナに心を寄せ、連帯するアミ(BTSファン)は、世界各国に多くいます。
例えば、世界各国のテテペン(Vのファン)たちが、2021年、パレスチナ難民支援の寄付リレーに参加したりなど、以前からの連帯はありますが、昨年から続くひどい状況に、現在 多くの国々のアミが、デモやボイコットに参加したり、署名、寄付などを行っています。

BTSが人種差別に反対してきたこと、メンバーがバンクシーの親パレスチナ作品を所有していることなどから、パレスチナのことを学ぶようになったファンも多いです。

そして、2023年からのジェノサイドに多くの人が心を痛め、これはアミに限ったことではありませんでした。

このMVでの「隕石が降りそそぐシーン」や「隕石が地球に衝突して爆発するシーン」が、どうしてもガザ、そして戦争、原爆を連想させ、「恐怖・嫌悪感」といった 心理的な負担を感じる人が多かったのは無理もありません。

そのため、これらの映像は、「今は避けた方が良かったのではないか」という意見は、多かったです。

それと同時に「敢えて、そのシーンを除外しなかったのではないか」という考察もありました。

隕石のイメージ画像 (出典:free素材 PhotoAC)
隕石のイメージ画像 (出典:free素材 PhotoAC)

「隕石=逆境」ならば、これは「逆境があろうと、自分軸で生きる」というテーマの歌。

隕石による爆発が「紛争を想起させるもの」であったとして、今なお紛争の終わらない この世界で「決して戦争が無くなる世界を諦めない」といったことを表現し、逆に敢えてこのシーンを除外しなかったのではないか、とも考えられます。

ガザにもアミ(BTSファン)がいて、世界中で「Free Palestine」の声が高まっています。

SNSで流れてくるガザの映像を、つらすぎるので「見ないようにすること」も、紛争地域に住んでいない人たちはできますが、現地にいる人々は、見ないようにする、ということ自体が無理ですよね。

それから、紛争が続いている地域(ガザに限らず)の受難は、「いま」(2023年~2024年)に限定されることではありません。
シリアでは、2011年からの内戦が継続中です。
イスラエルの占領は57年間続き、パレスチナは、その間ずっと困難な状態にありました。

それから、MVを制作したのは韓国の方々です。
韓国には兵役があり、より「戦争」というものを身近に感じざるをえない中で生活しています。
ジンくんも、最近(2024年6月)まで兵役に就いており、転役したばかりの方です。

韓国にとって、朝鮮戦争の記憶はまだ新しく、しかも 朝鮮戦争は今もなお「停戦中」です。
アジア太平洋戦争における、日本が行った強制動員や、戦時性暴力の訴訟は現在も続いており、市民は今も裁判で たたかっています。
被害者の尊厳回復のため、韓国・日本の市民たちの「連帯運動」も行われてきました。


そして、これは「地球滅亡」という架空の物語なのですが、現実世界でも、環境問題、紛争問題は起こっていますよね。

それらを踏まえると、熟慮のうえで「重いテーマ」を敢えて、外さなかったのではないか、とも。

元は “映画オチ”ではなかったことについて

ジンさんは、このMVのビハインドについて、元は“映画オチ”ではなかったと Weverseライブで明かしています。

MVの元のストーリーでは、“世界が滅びる”というラストでした。
しかし、ジンさんは、たとえ架空のストーリーであっても「僕に何かあったら、ARMY(BTSファン)の皆さんが悲しむんじゃないか」と考え、“地球滅亡”は“実は映画だった”というラストシーンを付け足すことになったんですよね。

ということは、元は、ラストシーン含め「重いテーマ」を際立たせた表現だった、ということですよね。

「終りに見た街」のラストシーンから考える

ここで、「映画オチ」「夢オチ」が一切無く、「世界の終わり」で終わる、という作品のことも、見てみたいと思います。

MVではなくドラマですが、まだ記憶に新しい方も多い、大泉洋さん主演のドラマ「終りに見た街」(2024年9月放送)を挙げてみます。

日本のドラマで、SF要素も入っていますが、アジア太平洋戦争という非常に重いテーマです。

「終わりを見た街」は、現代から、アジア太平洋戦争の戦時中に タイムスリップする話です。
過去には 細川俊之さん主演の1作目、中井貴一さん主演の 2作目が放送されました。
2024年放送の、大泉洋さん主演の話は 3作目です。

ラストシーンは、3作ともに「現代の東京」が「核兵器で攻撃された」という、ショッキングな終わり方となっています。

タイムスリップもののラストとして「現代に戻ってこれた」や「全部、夢だった」というオチを期待する気持ちが、視聴者にはあるでしょう。このラストは、絶望的な気持ちになります。

でも、だからこそ「同じことを絶対に繰り返してはいけないよね。」「そのためにはどうしたらいいか」と、人々に問いかける、そして考えさせる重いラストとなっていました。

ドラマ「終りを見た街」ラストシーンについては、こちら

紛争地域の方々のトラウマを呼び起こすおそれも

しかしやはり、隕石が降りそそぐシーンが、パレスチナをはじめ紛争地域のアミ(BTSファン)にとって、現実の恐怖を呼び起こしてしまう可能性が、考えられます。

そして、パレスチナ等の人々に連帯する、世界中の人のトラウマも…。

このことを、やはり、考えたいと 私は思います。

もし、隕石のシーンのないバージョンと、あるバージョン、2種類あったら、全員が 大好きなジンさんのMVを、心置きなく楽しめるのではないでしょうか。

「トリガーアラート」を入れるのはどうか 効果はない?

今回のように作品の中の表現が、トラウマを引き起こす可能性がある場合、作品の冒頭に「過激な描写が含まれています。苦手な方はお控えください。」などのトリガーアラートを入れるのも1つの方法ですが、
「トリガーアラートによる“身構え効果”は苦痛を和らげる効果がなかった」「(逆に)予期不安を増加させる可能性がある」という実験結果も出ています。(参考:Psychological Science 2023.10.19

【トリガーアラート(警告)とは?】
映画や本などで、トラウマを刺激したり 気分を悪くさせる可能性がある表現が含まれることを、あらかじめ周知すること。

もし、トリガーアラートがあっても、ジンさんの曲のMVですもの…やはり、みんな じっくり観たいですよね。

BTSのMVの中で「爆発シーン」などのあるものは?

それでは、BTSの他のMVで、「爆発シーン」等があるものは、他にもあるのでしょうか?

そして、そのシーンにはそれぞれ、どんな意味があったのでしょうか。

『FAKE LOVE』(2018年)

『FAKE LOVE』は、タイトルの通り「偽りの愛」とその葛藤がテーマです。

君のために自分を偽ることもいとわない、という気持ちと、偽りの愛はもううんざりだよ、という苦悩を繰り返します。

MVでは、ジンくんの周りのガラスが吹っ飛ぶ、という爆発シーンと、ジミンさんには水が、ユンギさんの部屋には火が襲ってくる、というシーンの演出があります。
それぞれ、登場人物の「愛というものに対する感情」を反映していて、「爆発」「水」「火」が、象徴的に使われているようですね。

画像は、クリックすると見られます。

ジンくんのシーン

『FAKE LOVE』MVの1シーン(爆発により、ジンくんの周りのガラス等が飛び散る演出) (出典:HYBE LABELS)
『FAKE LOVE』MVの1シーン(爆発により、ジンくんの周りのガラス等が飛び散る演出) (出典:HYBE LABELS)

ジミンさんのシーン

『FAKE LOVE』MVの1シーン(ジミンさんのいる場所に大量の水が流れ込んでくる演出) (出典:HYBE LABELS)
『FAKE LOVE』MVの1シーン(ジミンさんのいる場所に大量の水が流れ込んでくる演出) (出典:HYBE LABELS)

ユンギさんのシーン

『FAKE LOVE』MVの1シーン(ユンギさんの目の前に大きな炎が広がる演出) (出典:HYBE LABELS)
『FAKE LOVE』MVの1シーン(ユンギさんの目の前に大きな炎が広がる演出) (出典:HYBE LABELS)

まとめ

「MVを、観るのがつらい」という感想や、「これは、今は避けた方が良い表現だったのではないか」という意見があるのは当たり前で、人ぞれぞれであって良いと思います。
逆の意見も然りです。

ある人は、『FAKE LOVE』の水のシーンを見るのがつらいかもしれません。
またある人にとっては、爆発はすべて見られない、かもしれません。

制作陣が MVに込めた表現を想像したり、それを尊重する、ということは大切ですが、MVや映画、歌の感想は「受け取る人」の自由です。
それを言い合えるのが本来であり、また、企業にとっても、色んな意見はありがたいものです。

「隕石のシーン」に多くの人が(とりわけ、紛争地域のアミが)トラウマを呼び起こしてしまうなら、このシーンがある・なしの2パターン作る、というのも方法のひとつだと思います。

今(2024年11月現在)、MVの爆発シーンで、それだけつらく感じるのが多いということは、「それだけパレスチナに心を寄せてくれている人が多い」ということでもあると思いました。

私も、地球上の全ての戦争が終わるまで、この「つらい」という感覚を忘れずにいようと、改めて思います。

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