6月13日、ジンさんとARMY(BTSファン)とのフリーハグイベントの最中、2人の女性が、突然ジンさんにキスをしようとする、という事件が起きました。
これに対し、あるハン・アミ(韓国のBTSファン)が、ジンに無理な身体接触をした女性を警察に告発しました。
韓国では、第3者でも告発できるのでしょうか?
そして、これはどんな罪に問われるのでしょうか?
ジンさんへの「セクハラ」が起きた経緯
「BTS FESTA」はBTSのデビュー記念日を祝うべく毎年この時期に開催されているイベントです。
BTSは全員、兵役服務中でしたが、ジンさんが6月12日に兵役を終えて転役し、翌日13日には、ジンさんのオフラインイベント「Jin’s Greetings」で、ジンさんと1000人のARMY(ファン)とのフリーハグが行われました。
ハグは当初 事務所に反対されましたが、ジンさんの強い希望で開催されることになったんですよね。長らく待ってくれた、ファンのためにと…。
しかし、そんなジンさんの気持ちを悪用する形で、「奇襲キス」を試みる女性たちが現れてしまいました。ジンさんが驚いて 困った表情でよけようとしている様子は、あっという間に写真や映像で広まります。
ジンさんは優しく、そんなセクハラがあっても、また次の人、次の人へとまた丁寧に、心を込めてのARMYとのハグを続けてくれました。
問題の行動を受けた後も、落ち着いて「dont atack me please,ok」「slowly,slowly」と、優しく呼びかけていました。
アミたちは「セクハラである」と怒り、「再発防止として法的措置を取るべきではないか」という意見が出ました。
そして、あるファンが、ジンさんにセクハラ行為をした人を、性的暴行処罰法違反容疑で警察に告発し、ソウル松波警察署に申請されました。
韓国の法律では、何の罪?
韓国では、2013年以降、性犯罪に対する親告罪および反意思不罰罪が全面廃止されています。
強姦や強制わいせつなど刑法上のすべての性犯罪だけでなく、地下鉄などの公共の場での痴漢、インターネットなどの通信媒体を利用したわいせつ行為罪など、特別法上のすべての性犯罪に対して第3者の告発が可能になっています。
告発したファンは、ジンさんに性的嫌がらせをしたファンを「性暴力処罰法第11条」公衆密集場所での嫌がらせ違反容疑で警察に告発した、と話しています。
まだ申請されただけなので、何の罪に問われるかは、現時点(2024年6月14日現在)では、分かりません。
今後、どうなるか、見守っていきましょう。示談となる可能性もあるでしょう。
(参考:TOPSTAR NEWS 2024.6.14 より)
【6月15日 追記】ソウル松坡警察から
6月15日、ソウル松坡警察署は、今回の「性暴力処罰法違反の疑い」の苦情を受けたことを明らかにし、そして「まだ被疑者を立件していない状態」としています。(参考:매일경제 2024.6.15 より)
「イルアミ」ではないか、という噂について
また、SNSでは、「奇襲キス」を試みたのは外国人(イルアミ)ではないか、との噂が流れていますが、今は静かに、今後 どうなるのかを見守りましょう。
一部のイルアミ(日本のBTSファン)たちから、「イルアミがこんなことをしてしまって、ごめんなさい。」という声がSNSで見受けられますが、国籍やルーツは関係ありません。
例えば逆に、別の国籍 またはその地域にルーツを持つ人が問題を起こした時に、「国籍」を持ち出してしまうことは、「人種差別」になりかねません。
そして、ファンとは「ジンさんを大切に思う人」だと思います。「奇襲キス」を行った人が日本の人であっても、「イルアミ」とは呼べないでしょう。
「イルアミに問題を起こす人が多い」というステレオタイプの問題
また、今回に限らず「イルアミに問題行動を起こす人が多い」や「“Dynamite新規”(2020年にリリースされた『Dynamite』から新たにファンになった人)”に問題を起こす人が多い」というステレオタイプが日本で起こっています。
ステレオタイプの原因は、元は相手のことが解らない「不安」から来ています。そのため人は、見てから定義せず、定義してから見る、その人を「ラベリング」してから見る、ということに起因しています。(参考:XICA より)
また、「少数派」と「問題行動」が結び付けられやすいことも、実験により解っています。この現象は「錯誤相関」(Hamilton & Gifford, 1976)と呼ばれます。
「錯誤相関」とは、カテゴリー間の関係についての 誤った推論を指し、「少数派」がこれに結び付けられることは、偏見に繋がってしまう危険性がありますよね。
こういった問題は、個々に見ていく必要があります。
今回セクハラを起こした人たちには、2度と被害を生まないためにも、今後はきちんと治療を受けてほしいと思います。
日本でも第3者が「告発」できる?
日本で「告訴」を行うことが出来るのは、被害者です。
しかし日本でも、「告発」は第3者が行うことが出来ます。
ただし、親告罪については、告訴権者による「告訴」のみしか行うことが出来ませんので「告発」をすることは出来ません。
韓国より遅れましたが、現在 日本でも、刑法改正により、性犯罪は親告罪でなくなり、告訴がなくても起訴をして処罰が出来るようになりました。(2017年7月施行)
性犯罪は、ただでさえ被害者本人からの告訴はハードルが高いので、「2017年まで性犯罪が親告罪であった」こと自体が、日本は遅れている証拠です。
「DBS制度」の創設もまだですよね(2024年6月現在)
性犯罪対策に関して、もっと議論を進めることが必要です。
被害者が告訴をしない限り、検察が起訴できない犯罪のことを「親告罪」といいます。
告訴権者からの申告がない限り、捜査機関が捜査することもできません。
日本でも、同じような事例がある?
昨年2023年8月、DJ SODAさんが、音楽イベントで 一部の観客から胸などを触られる被害を受け、イベントを主催した会社が、加害者である観客3人を「不同意わいせつ」等の疑いで警察に刑事告発したことがあります。
こういった問題は、ジンさん、SODAさんに限らず、どこでも起きる可能性があります。
人気のあるアーティストたちをどうやって守るか。皆で考え、議論していく必要があります。
「処罰」だけでは、なかなか無くなりません。日本は特に教育先進諸外国から性教育が遅れています。
加害者を生まないためにも、性教育含む人権教育が大切だと、改めて思います。
コメント