文春記事は「誤報」ではないその理由と、見解が分かれるワケは?「訂正」部分を読んでみよう

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週刊文春の「訂正」をめぐって、「誤報なのではないか」「誤報ではない」と見解が分かれたのち、今度は文藝春秋社に対しての誹謗中傷までが飛び交っています。

そこで、この記事では、誤報なのか、そうではないのか、を整理しております。
それでは、さっそく、客観的に文章を読んでみましょう。

「X子さん」と報じられている方へ また、ご家族、ご友人、関係者の方へ

もしもこの記事が間違っている、また、消してほしいということがありましたら、ご指摘いただければ訂正・削除致します。
弊サイトは、いかなる性暴力も 容認しません。

目次

週刊文春の元の記事は「誤報」なのか?

ではさっそく、「週刊文春」記事の、「誤報ではないか」と言われている箇所を見てみましょう。

元の文章を読んでみます。

X子さんの知人が打ち明ける。

あの日、X子は中居さん、A氏を含めた大人数で食事をしようと誘われていました。

多忙な日々に疲弊していた彼女は乗り気ではなかったのですが、『Aさんに言われたからには断れないよね』と、参加することにしたのです。」

なぜなら、X子さんにとってA氏は仕事上の決定権を握る、いわば上位の立場にあった。

(引用元:12月26日に報じられた文春記事の文章でもあり、訂正版の中にも掲載されています。

訂正とおわびの文章がこちらです。

【訂正】本記事(12月26日発売号掲載)では事件当日の会食について「X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた」としていましたが、その後の取材により「X子さんは中居に誘われた」「A氏がセッティングしている会の”延長”と認識していた」ということがわかりました。お詫びして訂正いたします。また、続報の#2記事(1月8日発売号掲載)以降はその後の取材成果を踏まえた内容を報じています。

(引用元:週刊文春2025.1.10

こちらの2つの文章を読み比べてみると、下の【訂正】の中にある文章の中では「フジ編成幹部A氏に誘われた」と書いているのですが、上の元の文章には、「A氏に誘われた」とはどこにも書かれていません(黄色マーカー部分です)。

「X子は」「中居さん、A氏を含めた大人数で食事をしようと」「誘われていました。」ですので、「誰々から」という目的語は、無いですよね。

厳密に言えば、「誰が誘ったか」というのは、X子さんの知人の方も仰っていないわけです。

ではなぜ、文春は「訂正」文を出したのか?

文章では「誘った人」を直接断定していません。

おそらく、その直後の知人の言葉が「(X子さんは)“Aさんに言われたからには断れないよね”と、参加することに…」と続いたことで、断定していなくても「あ、A氏が誘ったのか」と読者が繋げて読める表現でもあったことから、訂正とおわびを出したのだと思われます。

おわびを出したことは、誠実な対応で、評価できます。

おそらく、「知人の方への取材を元に掲載しましたが、X子さんは“当日”A氏に誘われたかのような表現がありました。その後の取材により、中居氏に誘われたが、A氏のセッティングする会の延長と認識していた、という詳細が分かりました。」という趣旨だと思われます。

なぜ、「見解」が分かれるのか?

「みんなが疑問を持っている」を表すイメージ画像
(出典:Free画像より)

文春の「訂正」について、多かった意見をまとめると、大体2つの見解に分かれます。

まず、「誤報」という意見。
「“当日”誘ったのは中居氏じゃないか。A氏ではないじゃないか。」という見解が見られました。

対して「誤報ではない」という意見では
「(X子さんが)中居氏に誘われようが、A氏に誘われようが、本質的なところは同じ。
「先に(権力者である)A氏が“仕事に繋がる事だから”と、X子さんが 断れない状況を作っているので、中居氏の誘いであっても、業務としていかざるを得ない。」という見解です。

ではなぜ、同じ文章であるにもかかわらず「誤報ではないか」「誤報ではない」と、まるで逆の見解が現れるのでしょう?

は、弱者の視点・「点」ではなく「一連の流れ」である

“弱者の立場”を経験している人の多くは、多かれ少なかれ、このの中にある「圧力」への恐怖を感じたことがあります。
だからこそ、X子さんの「逆らえない」という心境と重なるところがあり、「本質的なことは変わらない」と捉えます。

実際に時系列を追っていくと、X子さんの立場では 逆らえないA氏からの命令で、会食(中居氏宅で数人のBBQ)が先にあったことが分かります。
そして 中居氏と連絡先を交換するようにA氏に言われ、その上で 後日、中居氏から誘われたら、立場の弱いX子さんは、A氏の業務命令と認識するのは当然の流れですよね。

さらに、日本では「性被害」に遭われている方が本当に多いのです。声を上げられないケースも、本当に多いです。
X子さんが『A氏に仕組まれた』と感じたことを文春が報じていますが、このような「やり口」も、芸能界ではなくても、実際に多いのです。

だからこそ、多くの人は「本質的なところは変わらないのだ」と読みました。

は、バイアスが働いている・「点」で捉える捉え方

の見解は、自身の知識や経験値から「一連の流れ」として読み取っていることを表しています。

対して、「点」だけで捉える見方がの見解です。

一連の流れと見るか、それとも「点」だけで捉えているか。この違いも要因です。
「中居氏とX子さんだけの“トラブル”である」という捉え方です。

そして、何よりも顕著なのは「そして、それは大したことではない」という先入観、決めつけの意見です。

おそらく、ご自身や周りが「性被害」に遭ったことがなく 分からない、ということもあるでしょう。
しかし根本的な問題は、性教育を含む人権教育が不十分なことです。
AVで行われていることを「教科書」にしてしまうようなことも、何年も問題になっています。

多くの人は、記事を読んでいない

もうひとつには、多くの人は、「文春の記事を読んでいない」ということです。
文春の、この件に関する、それこそ「全て」の記事を、わざわざ読むことまではしないでしょう。

くだんの記者会見でさえ、「文春の記事をちゃんと読んで来ていない」と判る質問をする記者の方もいらっしゃいました。

テレビのワイドショーのコメンテーターが言う言葉だったり、「インフルエンサー」といわれる人の発信だったり、それを「元」にした文言が噂として広まるという現象を、本当に良く目にします。

ストップ!いじめ・誹謗中傷 (出典:photoAC by Hades Free素材より)
ストップ!いじめ・誹謗中傷イメージ
(出典:photoAC by Hades Free素材より)

確かに、学びになる 良い発信をしておられる方も多くいます。それを良い参考にするのはいいと思います。
ですが、疑問点があったら、先ずは「自分で調べてみる」ことを、おすすめします。

まとめ

文春の記事「訂正」による意見に多く見られた現象、「誤報であるか・ないか」を検証、解説してきました。

ただ、マスメディアも私たちも、これを「フジテレビと文春の闘い」という文脈に、持っていってはいけません。

本質的なことは、深刻な 人権侵害の問題です。

性被害が起きてしまったことの原因を考え、被害者も加害者も出さない社会を作ること、そして部下を理不尽な命令に従わせるような企業の土壌を根絶することです。

マスメディアの皆さんも、どうか「ゴシップで売ろう」という扱い方ではなく、
性被害を社会から無くし、組織の在り方を正していくための議論を促せるような、情報媒体にしていきましょう!

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