『虎に翼』の「生理」シーンが話題に!生理がテーマのドラマ、今まであった?

当ページのリンクには広告が含まれています。
広告

連続テレビ小説『虎に翼』の第11話(2024年4月15日放送)で、主人公 寅子が重い生理痛に苦しむ描写が、話題になっています。

「生理」のシーンが話題になっているって、日本ではまだ「タブー視」されているのかな?

残念ながら、まだその通りですよね。
『虎に翼』は、その問題を世間に問いかけるシーンがあります。

では、『虎に翼』以外では、生理のシーンが登場するドラマって、無いの?

目次

生理のシーンが出てくるドラマは他にもある?

実はこれまでも、生理は、ドラマなどにちょくちょく取り上げられているテーマなので、ご紹介していきます。

テレビ界も、生理の問題に取り組んでいる

生殖器についての本で学ぶ子ども (出典:Free素材 pexels cottonbro studio)
(出典:Free素材 pexels cottonbro studio)

日本では、公教育での性教育がまだまだ遅れていることから、「生理」についても、生理の無い人だけではなく、実は生理のある人にとっても、情報が不十分なことが多いんですよね。

一方、そういった性教育の遅れや「タブー」という風潮を変えようと、民間や現場の先生の取り組みも広がってきています。

それはテレビ業界でも同じで、近年「生理」について、取り上げるようになってきています。

そんなドラマや番組をご紹介したいと思います。

まずは、話題の『虎に翼』から。

朝ドラ『虎に翼』(NHK 2024年4月1日~)

『虎に翼』は、フィクションであり、原作はありませんが、モデルは実在する 三淵嘉子(みぶち よしこ)さん(1914年11月13日生まれ)。
三淵嘉子さんは、日本で初めて「女性」の弁護士・判事・家庭裁判所長になった人です。

脚本は、吉田恵里香さん。演出は橋本万葉さんです。

https://twitter.com/dorraming/status/1780745431766671517

「月のもの(生理)」の話になった時に「席外そうか?」と言ったカフェのマスター 増野さんへ、梅子さんが「お気になさらず」と言ったシーンがあります。

「生理の話含む性の話」はタブーなどではない、と、突き付けているのが痛快なシーンでしたね。

ドラマが特に「生理がテーマ」ということではありません。
「日常を生きる人たちのドラマの中に‟当たり前”にあるはずの生理痛のシーンが、(朝ドラに限らず)あまり見たことが無いのは、おかしくない?」と見事に突き付けてくれています。

男尊女卑、家父長制の問題が多く出てきますが、それを乗り越える「女性」の話にとどまるのではなく、どの性を持つ人たちにとっても大切な「人権」がテーマになっていると思います。

それは現在に繋がっている 私たちの物語でもあり、このドラマが、人権について考えたり、周りの人と対話したり、といったことに繋がっているようです!

https://twitter.com/krttn78/status/1780220805542248697

NHK広報局は、週刊女性PRIMEからの「朝ドラで生理を取り上げる理由」の質問を受け、こう回答しています。

「生理に関わる諸問題や情報などをお伝えしていくことは、誰もが生きやすく、多様な生き方が認められる社会実現にとって大切なことの一つと考えています。」

週刊女性PRIME 2024.4.18 より

ドラマ『生理のおじさんとその娘』(NHK 2023年3月24日放送)

ドラマ『生理のおじさんとその娘』は、生理をテーマにしたドラマです。

https://twitter.com/nakamamo/status/1780268635556024469

主人公 幸男(原田泰造さん)は、生理用品メーカー広報マン。
「生理のおじさん」として有名になり、人気ですが、高校2年生の娘・花(上坂樹里さん)の内心は複雑です。
ある時、幸男は テレビ番組で「娘の生理周期」という、きわめてプライベートなことを話してしまい、大炎上。
傷ついた花は家出してしまいます。

こちらも『虎に翼』と同じく、脚本は吉田恵里香さん、演出は橋本万葉さんでした。

橋本万葉さんは、このドラマで伝えたかったことについて、こう話しています。

「今回のドラマで一番描きたかったことは、生理のある当事者と、生理のない非当事者の間にあるコミュニケーションです。」

フェムテック 2023.3.22 より

橋本さんがこのドラマを作るきっかけになったのが、2020年の「ジェンダーギャップ指数」を目の当たりにしたことでした。日本は世界153か国中121位だったのです。

ちなみに2023年の指数は、146カ国中125位と後退、過去最低となりました。
まさに『虎に翼』の時代の問題は、現在も続いていますね。

また、実際にドラマのオーディションに参加してくれた10代・20代の生理当事者の皆さんに、生理にまつわる悩みについてインタビューをしています。

その時 橋本さんは、今だに多くの若い人たちが切実な悩みを抱えていることに「私たち社会は20年間、一体何をしていたのだろう?」という思いにかられたそうです。

制作陣は、「生理の無い人たち」と議論しながら、「生理のある当事者たちの目線」でのドラマを丁寧に作っていきました。
(参考:NHK公式サイト「ドラマ『生理のおじさんとその娘』制作の裏側で考えたこと」より)

幸男に対して「あなたは女性のことを全然分かってない」と北城うらら(菊地凛子さん)が言うシーンも、「生理のある人と無い人の分断」の問題を指摘していると思います。

幸男の失言シーンも、「タブーな風潮」が続いてきた日本社会がアップデートする過程で、このような問題…当事者のことを、当事者でない人が「良かれと思って」「無意識で」傷付けてしまいがち…という問題にも切りこんでいます。

また、原田泰造さん演じる主人公 幸男が、ドラマを飛び出して、こんな発信もしていました。

https://twitter.com/nhk_dramas/status/1640171781125226497

  • 「3ヶ月以上、無月経が続くときは、婦人科へ(生理周期は、平均 約25~38日)」
  • 「3週間以上、生理の出血が続くとき、女性ホルモンの乱れなどの可能性があります。」
  • 「1ヶ月に3回以上の出血がある時、2回はすぐに心配はありませんが、3回以上は子宮頸がんの可能性もあります。」

と、1つでも当てはまったら婦人科へいきましょう、と呼びかけています。

「生理が無い人」がこういった発信をしてくれることで、生理が無い人も当事者なのだという認識が広がってくれると良いですよね。

※『生理のおじさんとその娘』は、U-NEXTamazon prime (「NHKオンデマンド」に要登録)で観られます。(2024年4月現在)

映画『生理ちゃん』(2019年)

こちらも「生理」がテーマの物語。生理を擬人化したキャラが登場します。

主演は二階堂ふみさん。『虎に翼』の主人公でもある 伊藤沙莉さんも出演していました!

二階堂ふみさんは、当時の舞台挨拶で、映画のテーマや ふみさん自身の思いを、こう語ります。

「生理っていう女性の体の中で起こることを題材にはしていますが、だからといって男性対女性という感じになるのではなく。

自分とは違う人が抱えている悩みや苦しみを、なるべくその人に寄り添いながら理解してあげられたらいいのかな」

コミックナタリー 2019.10.6 より

二階堂ふみさんは、「ロリエ」のブランドアンバサダーもつとめていますね。

生理用品ブランドも、CMで「無理しないことが大切」と、国際女性デーに合わせて発信しています。

『生理ちゃん』の原作は、小山健さんの 同タイトルの漫画です。

品田監督はさらに、実際に周りにいる生理のある当事者から 生理の悩みなどを聞き、映画に反映させました。

生理ちゃんの声は、1人の声優さんが演じているのではありません。

それぞれの登場人物の所にやってくる「親友のような存在」であり、「心の声」でもあるので、それぞれのキャストが担当しています。
(参考:コミックナタリー 2019.10.6 より)

シネマトゥデイ公式YouTubeより

「あさイチ」でも、「生理についての学び」が紹介されています。

ドラマや映画だけでなく、情報番組でも、生理が取り上げられることが増えてきました。

2019年11月27日放送の「あさイチ」でも、「みんなで語ろう!生理・閉経のモヤモヤ」と題して、スタジオでのせきららトーク、生理のワークショップにつるの剛士さんが参加するなど、「生理」がテーマの特集が組まれています。

アクロストンさんのワークショップ

この日は「アクロストン」さんの生理に関するワークショップの様子が放送されました。

番組では、短時間で一部がピックアップされていましたが、実際のワークショップでは、生理のメカニズムや、身体や心の不調について学んだり、経血量などの個人差は「毛糸で作った経血」で体験、実際に生理用品を見たり、避難所で何枚配るかについて考えてみる、と盛りだくさんの内容だったそうです。
(参考:アクロストン note 2019.11.27 より)

アクロストンさんは、医師の夫婦ユニットです。
子どもや親が、性の知識を学ぶための活動をされています。

性教育のワークショップを 学校やフリースクールで開催したり、性教育の本を出したりされています。

生理について学ぶ機会の大切さ

このように、テレビ番組をはじめ、生理のことを学ぶ場作りは広がってきているものの、まだまだ日本社会のアップデートが必要です。

日本では、まだまだ 婦人科にも フェムテックにも アクセスしづらい

生理のある当事者であっても、「従来の生理用品以外のアイテム」や「痛みを軽減できること」「コントロールできること」を知らなかったり、知っていても、今までのスタイルをなかなか変えられないことも多いです。

日本で長年、「生理は我慢するものだ」という誤った風潮にさらされてきたのも大きな要因です。

一方で、「フェムテック」という取り組みは 日本社会にも広がってきており、企業の福利厚生や、自治体サービスにも取り入れられ始めています。

フェムテック(Femtech)とは、「女性」の健康課題をテクノロジーで解決へ導くサービスの総称です。
(2012年、ドイツの月経管理アプリ「Clue」を開発した、デンマーク人のイダ・ティンさんが「Female」と「Technology」をかけ合わせて「フェムテック」という言葉を作ったのが由来です。)

2020年代になって、日本でも認知され始めました。

とはいえ、まだ良く知らなかったり、アクセスしづらい人は多いです。

やはり、性教育は非常に大切な役割となってくるのではないでしょうか。

スウェーデンでは、8歳から、生理のある生徒も無い生徒も、一緒の教室で、生理のことはもちろん、出産のこと・性行為についても、大切なことなので、しっかり学ぶといいます。

スウェーデンのストックホルムで育ったLiLiCoさんは、2019年のインタビューで、こう話します。

スウェーデン人にとって、生理および性はタブーではないし、子どもであっても「生理は女性にとって当たり前の現象であって、恥ずべきものではない」という認識を持っているんです。

生理中の女性に対して、不快感を示すようなことはしない。

HUFFPOST 2019.10.18 より

フィンランド・ドイツの性教育・日本の民間の取り組みについては、こちら

日本でも、性教育を含む人権教育の場を増やしていくことが大切ですね。

『虎に翼』のこれからの展開も、楽しみです!

広告
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次