水沢氷魚さん、黒島結菜さんが「新しい命を授かったことをご報告させていただきます」と発表されました。
本当に、おめでとうございます!
しかしSNS上では、入籍の予定がないとの発表に、疑問を持つ人が少なくなかったようです。
「入籍しない」ことや「事実婚」は、不思議なことではありません。
どうか安心してください!
これについて、解説していきたいと思います。
日本の「戸籍制度」は、めずらしいもの
まずは、「籍を入れる」について。
昔は、東アジアの広い地域で普及していた「戸籍制度」ですが、戸籍制度のある国は、きわめてまれで、現在は日本と中国、台湾のみです。(韓国では、2007年までありましたが、大晦日で廃止されています。)
日本では、「法律婚」をする際に「婚姻届」を提出すると、これまで入っていた戸籍から除籍して、2人の新しい戸籍を作ります。
ほとんどの国で採用されていない「戸籍制度」ですので、制度の必要性も、この先 議論されていくことでしょう。
事実婚制度が整っている国
フランスの「PACS(パックス)」制度
フランスには「法律婚」、「PACS(パックス)」、「ユニオン・リーブル(いわゆる事実婚にあたる)」の3つの形があります。
「PACS(パックス)」契約とは?
契約・契約解消は、結婚・離婚に比べて手続きがスムーズで、「法律婚」と同等の社会保障・税金などの優遇措置が受けられるなど、異性、同性を問わず「法律婚」と同様の社会保障を受けられる仕組み。
子どもに「嫡出」「非嫡出」の区別などありません。
フランスは、事実婚カップルの間に生まれた赤ちゃんの割合が、出生の全体の約60%なんです。
また、フランスでは、法律婚を選んだ人でも、PACS契約者でも、シングルマザーでも、出産・保育手当や住居手当の充実、教育費が無償、などの社会制度が整っています。
フランスでは法律婚を選択する人は減り続け、逆にPACS利用者は増え続けています。(「法律婚」にも、日本のような戸籍制度はありません。)
「PACS」「ユニオン・リーブル」を選択する人が多いですが、「法律婚」を選ぶ人ももちろんいます!
もちろん同性同士のカップルも「PACS」「法律婚」制度が整っています。
自由に選択できる社会の雰囲気がとても良いですよね!
ドイツの結婚観
ドイツも、法律上の結婚にとらわれない、事実婚のカップルが多い国です。
「事実婚」も、「事実婚カップルの間に生まれた子」も、差別することのない社会で、「結婚」を単なる古臭い習慣と考える人もいます。
別れて、その後でそれぞれにパートナーができても、一生、友人として付き合っていったりします。お葬式に前のパートナーが来ることも、めずらしくありません。
日本の「事実婚」は?
民法の規定の準用
結婚の形のひとつである「事実婚」は、日本では「婚姻届を出さないので 法律上の夫婦とは認められない」とされていますが、民法の婚姻に関する規定が準用されるものもあります。
つまり、婚姻関係と同様に扱われる権利・義務がある項目がいくつかあります。
例えば
・「同居・扶助、協力義務」(民法752条準用)…同居すること、相互に協力すること。
・財産分与請求権(768条準用)…事実婚解消の際、財産分与の請求ができます。
など。他にもあります。
社会保険は
法律婚も事実婚も夫婦どちらかの扶養に入ることが可能です。
厚生年金の、遺族年金の受給権もあります。
配偶者控除は
現在、税金の配偶者控除については、法律婚のみ。事実婚の人はできません。
親権は
現在、事実婚は共同親権を持てません。
日本では「選択的夫婦別姓制度」も「事実婚家族の社会制度」も「同性婚」に関しても、遅れていますね。
本当に、そう思います。日本でも、早く当たり前の社会保障制度が全員に行きわたるよう、整えたいですね!
黒島結菜さん、宮沢氷魚さんカップルの結婚観が素敵!の声
黒島結菜さん、宮沢氷魚さんは、それぞれに、入籍という形にこだわらず、生涯のパートナーとして 家族として、支え合っていきたいとコメントされていましたね。
【黒島結菜さんのコメント】
なによりありのままの私を受けれてくれる彼は、これからの人生において大切な生涯のパートナー、また家族になる存在だと感じました。そして、ふたりの間に子どもがいる生活を想像するようになり、ありがたいことに授かることができました。交際を始めた当初から入籍することは考えておらず、私たちにとって必要なタイミングが来たら話し合って決めてたいと思います。
ORICON NEWS 2024.1.16 より
【宮沢氷魚さんのコメント】
また、お互いに入籍という形にはこだわっておらず、現時点では籍を入れる予定はありませんが、今後に関して、必要に応じて話し合って決めていきたいと思います。生涯のパートナーとして、家族として、共に支え合って歩んで参ります。
ORICON NEWS 2024.1.16 より
「入籍」は、ただの「民法上の手続き」に過ぎません。「入籍」しなくても「生涯のパートナーとして歩む」ことができるので、こだわる必要性はありません。
日本には「責任を取る」という言葉がありますが、何だか「責任」のために「法律婚」をするみたいで、赤ちゃんにもパートナーにも失礼な感じがしますよね。
愛する人と共に歩むという価値観は、お2人で一緒に暮らし始めた時からの自然な愛の形で、赤ちゃんを授かったのは奇跡でもあり、それも自然なことで、
この形は、法律にこだわる「法律婚」よりも、実質的な「愛の結婚」の形といえるでしょう。
お2人のお子さんも、そんな家族の形の中で育つことができる、その環境が、とても良いなぁ♡
日本のSNSでも共感の声 多数!
カップルの数だけ、カップルの形がある! 事実婚を選ぶワケ
「事実婚」の選択理由は、人それぞれです。日本では…
・「お互いの自由を尊重して、結婚しない」
・「名字を変えるデメリットが大きいため、選択制夫婦別姓ができるまでの一時的な選択」
・「日本の家父長制的、家制度的な結婚観にあらがって」
・「同性婚が認められていない日本の不平等な制度が前提にあり、自分たちがそれに加担するのは嫌」
・「戸籍制度自体が、結婚の本質とは異なり、不要と思っている」
などなど。このほかにも色々ありますが、日本では、上記のように、事実婚を選ぶ理由が「制度の立ち遅れ」によるものが多いのも事実なので、変えていきたいところです。
若い世代には浸透しつつある「事実婚」
日本でも、少しずつ認識は進んできつつあります。
一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、TOKYO MX「堀潤モーニングFLAG」出演の際、
「友人との会話で結婚の話題になると、“法律婚(通常の結婚)か事実婚か”という話になるぐらい、今は選択肢のひとつという認識が広がっている」
TOKYO MX プラス 2023.10.6 より
と述べています。(能條桃子さんは20代です。)
フランスでも、「PACS」が施行されたのは、1999年末。(ちなみにフランスで、ようやく同性婚法が成立したのは2013年です。)そう「昔」ではありません。フランスも、市民のエンパワーメントで変えていったのですよね。
(参考:中央大学経済研究所年報 第45号(2014) pp.13-37「フランスにおける同性婚法の成立と保守的家族主義への回帰」北原 零未
日本でも、遅ればせながらですが、これから、例えば日本版の「PACS」、法律婚における「選択的夫婦別姓」や「同性法律婚」、といった議論がますます広がっていくと思われます。
日本でも、(「事実婚を選ぶワケ」などと、わざわざ書かなくても良いような、)当たり前に「事実婚」も「法律婚」も選択できる社会を、作っていきたいですね!
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